巻頭言

 

情報科学研究科の現状と将来

情報科学研究科長 井上 克郎

 情報科学研究科は、工学研究科・基礎工学研究科・理学研究科に分散して存在していた情報処理技術に関する教育研究組織を改組・再編し、平成14年4月に創設され、十余年を過ぎました。本研究科では7つの専攻において、情報科学の基礎や応用はもとより、情報数学の基礎や応用、バイオ情報工学まで、非常に幅広い分野の教育、研究を活発に行っています。

平成24年度に採択が決まり、平成25年度から学生の募集、教育を開始した文部科学省博士課程教育リーディングプログラムの複合領域型(情報)「ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム」では、41名の応募があり、そのうち28名が第1期生となりました。その後、第一関門のPre-QEを経て、現在24名の学生が在籍しています。このプログラムでは、企業や外部組織の方々からの実践的知識の講義や、海外で活躍している研究者や技術者との交流、沖縄科学技術大学院大学での合宿など、いろいろな場を通じてリーダーとなるための知識、経験、意欲などを高めていく教育を行っています。引き続き、第2期生の募集に対して多くの応募者が集まってきており、このプログラムへの期待の高さがうかがわれます。

同じく平成24年度に採択が決まり、平成25年度から本格的な授業、演習を開始した文部科学省の情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業「分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク」(通称enPiT)では、大阪大学はクラウドコンピューティングの教育を神戸大学とともに受け持ち、近畿圏の多数の大学と連携して、39名の学生(うち本研究科の学生は13名)の育成を行いました。また、5名の本研究科の学生が、奈良先端科学技術大学院大学が中心になって行うセキュリティ分野の教育に参加し、修了しました。これらのプログラムでは、他大学学生らとの合同演習や合宿を通じて、技術力の向上のみならず、コミュニケーション力やマネジメント力の向上が実感できたようで、参加学生の満足度も非常に高いようです。

平成25年11月、IT連携フォーラムOACISでは、新しい試みとして、学生の卒業後のキャリアパスを考えるシンポジウムを開催しました。学生は、普通、在学中あまり産業界との交流を行う機会がなく、少ない知識のもとで、自分のキャリアプランや就職を決めなければなりません。本シンポジウムでは、多くの企業の技術者にブース出展を行ってもらい、学生が多数の企業を回って交流をすることによって、自分の将来像を描きやすくなることを期待しました。今後も、このような場を通じて、学生と企業との交流を深めていきたいと思っています。

平成26年4月より、かねてから準備していた英語プログラムが開始されます。今まで留学生は、日本語の勉強を十分に行った後、日本語の授業で学ぶ必要がありました。教員や職員の皆様のご協力により、英語のみの環境で、博士前期課程を修了できるように、カリキュラムやシラバスを見直し、制度の改正を行いました。その結果、このプログラムには、4月より2名の学生が入学し、10月にも入学生を募集予定です。今後のますますの発展が期待されます。

情報科学研究科の第3期棟の着工が間もなく始まろうとしています。我々の念願であった全専攻が一堂に会することができることによって、教員や学生の活動の輪が広がり、教育、研究活動がより一層活発になっていくことが期待されています。

このように現在、いろいろな活動が本研究科で行われています。情報科学技術は、今後も大きな成長や発展が期待され、社会の基盤としてますます重要な地位を占めていくことになります。我々は引き続き、イノベーションを起こしインパクトを与えるような研究を目指すと共に、このようなIT社会の発展に尽くす人材の教育を推進していきます。

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan