巻頭言

 

情報分野のイノベーション創起に向けて

研究科長  尾上 孝雄

情報科学研究科は平成29年4月に創設15年を迎えます。本研究科では、それまで工学研究科、基礎工学研究科、理学研究科に分散して存在していた情報処理技術、ネットワーク技術に関する教育研究組織を改組・再編することで強固な体制を構築し、情報科学の基礎理論から基盤技術や応用システム、生物工学との融合領域まで、幅広い分野の教育研究に従事して参りました。今後も、研究科のさらなる発展に向けて邁進していきたいと考えています。

さて、大阪商人や市民の強い声を受けて誕生した大阪大学の最大の特徴は、やはり地域や産業界との強い連携だと考えております。ロイター社が発表する「世界で最もイノベーティブな大学」“The World’s Most Innovative Universities”ランキングでは、国内でもトップレベル(2015年国内1位、2016年同2位)に位置づけられています。情報科学研究科でも、イノベーション創起につながるさまざまな教育研究活動を行ってきています。

研究科創設当時から産業界との間で3つの連携講座(高機能システムアーキテクチャ講座[シャープ株式会社]、サイバーコミュニケーション講座[日本電信電話株式会社]、マルチメディアエージェント講座[株式会社国際電気通信基礎技術研究所])を設け、多くの先導的研究者・技術者を招へい教員としてお招きし、産業界における最先端のトピックに関する教育研究に従事頂いております。

平成28年4月には、大阪大学発の産学連携モデルである2つの協働研究所(NECブレインインスパイヤードコンピューティング協働研究所、三菱電機サイバーセキュリティ協働研究所)が始動しました。協働研究所は、学内に産業界の研究組織を誘致し、社会的要請が強い分野における基礎から実用化まで一貫した共同研究の実施など、多面的な産学協働活動を展開する拠点です。研究科の教員、大学院生も参画して、先端分野の顕著な研究成果が期待できます。

また、同じく平成28年度より、パナソニック株式会社との間で「人工知能共同講座」を開始しました。当該分野における国内初の大学と産業界の協働講座で、人工知能技術を研究開発やビジネスに活用できる人材を座学+実プロジェクトによる実学で創出することを目標にしています。本講座は、今後大学院生や他社向けにもオープン展開していく予定です。

上記のような、情報分野のイノベーション実現のためには、それを牽引する人材の輩出も非常に重要になります。ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラムでも、さまざまな面で実践的な教育推進を念頭に置いて進めております。また、第2期に入った成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT2)では、学部生も対象に含め、社会的要請が強い4分野(ビッグデータ・AI分野、セキュリティ分野、組込みシステム分野、ビジネスシステムデザイン分野)について、実在する課題に基づく実践的な教育を推進します。大阪大学は、第1期に引き続き運営拠点ならびにビッグデータ・AI分野に中核拠点として選定され、全国レベルの人材育成を牽引します。

今後も情報科学技術は、社会生活における共通基盤技術として、各種産業コア技術、ならびに関連データと掛け合わされて、さまざまな「財」・「サービス」を生み出すと大きな成長や発展が期待されています。オープンイノベーションの核となり得るインパクトのある成果を挙げられるよう、情報科学研究科教職員一同、一層努力して参ります。

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© Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan