平成24年度 一日体験教室

副研究科長 | 尾上 孝雄

 情報科学研究科では、情報科学の面白さや素晴らしさを紹介し、理解を深めてもらう機会を提供するために、高校生・高専生、大学生、保護者の方々を対象とした「一日体験教室」を平成17年から開催しています。本年度も、本学「いちょう祭」行事の一環として、平成24年4月30日に同教室を開催しました。情報基礎数学専攻は豊中キャンパスで、他の6専攻は吹田キャンパスの情報科学研究科棟で行いました。午前中は、各専攻における研究内容を説明する研究室開放のコーナーを用意して、自由に見学していただきました。午後は、細田 耕教授による「人とロボットの知能」と題した講義と、6専攻6研究室による体験学習を行いました。高校生、大学生を中心に2会場で110名の参加者がありました。また、アンケート結果では、「今後も大学説明会に参加したい」という意見も多く、本学の情報系分野に興味があり、進学希望の高校生が多かったことがわかります。一日体験教室は研究科の恒例行事として定着しつつあります。平成25年度も同時期に開催いたしますので、多数の参加をお待ちしております。

研究室開放―専攻紹介

1. 情報基礎数学専攻

情報科学の基礎を担う数学研究や、数学を応用した情報科学の研究を行っています。専攻で開発したプログラムDeltaViewerを実際に操作してもらい、数学を応用した3次元画像処理を体験していただきました。

2. 情報数理学専攻

人工知能技術と心理実験や生体情報を組み合わせることで、ヒトに適応するコンピュータの研究を行っています。さまざまな情報を用いて、さまざまな方法でヒトを快適にしようとする研究をいくつか簡単に紹介しました。

3. コンピュータサイエンス専攻

ソフトウェアを効率的に作るための理論や応用について研究しています。その技術の1つであるソフトウェアの検索技術について、デモやパネルを用いて紹介しました。

4. 情報システム工学専攻

情報を処理するさまざまなシステムについて研究しています。このうち、システムの高信頼化技術、たとえば、故障に強いシステムの構築手法等について、最新の研究内容を紹介しました。

5. 情報ネットワーク学専攻

通信ネットワークをより便利に、より快適に使うための方法を研究しています。情報のやりとりを高速にする研究や、複雑なネットワークのしくみを明らかにする研究などを紹介しました。

6. マルチメディア工学専攻

コンピュータを使って、大量の文章から役立つ情報を取り出す研究をしています。twitterの情報から流行を取り出す技術と、企業が提供する情報やサービスに関する問い合わせに応答する技術のデモ・展示を行いました。

7. バイオ情報工学専攻

生物の仕組みに学ぶ新しい情報通信技術の研究をしています。生物が細胞内に有する複雑なネットワークの解析に関する研究や、昆虫などの振る舞いにヒントを得たネットワーク技術などを紹介しました。

講義「人とロボットの知能」(マルチメディア工学専攻 細田 耕教授)

 人の動作のメカニズムを機械的に再現することで、人間型のロボットを作り、人間が活動しづらい場所などでの作業などの実現が期待できます。人の筋骨格構造を模した脚や、人工皮膚を用いた人間型柔軟指など、最先端のロボット技術について、生物の知能的振る舞いを構成的に説明する研究などについて紹介がありました。

体験学習

1. あなたを快適にするコンピュータ
 (情報数理学専攻)

脳波、心拍などの生体情報、動きなどの情報を知覚して、それに応じて音楽の生成や照明などの機器操作を行うシステムを体験してもらい、その基盤となる技術について紹介しました。

2. 2つのソフトウェアから同じ部分を見つける技術
 (コンピュータサイエンス専攻)

ソフトウェアは、電子機器が実行する機能を表現した電子データです。携帯電話の機種間の比較を題材に、ソフトウェアの同じ部分を発見する技術の原理と、その応用について学んでもらいました。

3. テスト設計のパズル
 (情報システム工学専攻)

システムの効率良いテストには、文字通りパズルを解くことが必要になります。体験学習では実際にパズルを解いてテスト設計(どの機能をいつテストするか決めること)を体験してもらいました。

4. インターネットの「品質」を体験する
 (情報ネットワーク学専攻)

「ネットが遅い!」と感じたことはありませんか?その時、インターネットに何が起こっているのでしょう?そのメカニズムを紹介するとともに、インターネットの「品質」を実際に体験してもらいました。

5. コンピュータによる文章解析
 (マルチメディア工学専攻)

twitterから情報を取り出すシステム、問い合わせに自動応答するシステムを利用しながら、コンピュータが文章を読み解く仕組みを学んでもらいました。

6. 生物に学ぶ新しい情報通信技術
 (バイオ情報工学専攻)

生物が単純な仕組みで巧みにゴールを達成する仕組みや、それを応用した新しい情報通信技術について、体験などを通じて学んでもらいました。

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan