バイオ情報工学専攻
バイオシステム解析学講座の紹介

バイオ情報工学専攻 | 若宮 直紀

 情報通信システムの大規模化、複雑化、またその利用シーンの多様化に伴って、システムの動作条件を規定し、その中で最大の性能を発揮できるように最適設計するという従来型の手法は限界を迎えつつあります。バイオシステム解析学講座では、予期できない事象に対しても頑健で持続発展できる情報通信システムを実現するため、高い拡張性、柔軟性、適応性、頑健性を有する生物システムの仕組みを理解し、情報通信技術へ応用する研究に取り組んでいます。

自己組織型情報通信技術

 局所的な情報を利用した簡単なルールに基づいて動作する構成要素が相互作用することによって、全体としての振る舞いやパターンが創発される自己組織化という現象は、生物以外にも様々な領域で知られており、新しい世代の情報通信システムを構築するための設計原理として注目されています。群知能と呼ばれる、社会性昆虫の群れなどにおける自己組織化のメカニズムなどを応用した、新しい自己組織型の情報通信技術を研究開発しています。

ゆらぎを活用する情報通信技術

 あらゆるシステムは、外因性、内因性を問わず様々なゆらぎ(ノイズ、摂動)にさらされています。工学システムにとって、ゆらぎは邪魔者であり、最適動作を確立、維持するため、ゆらぎを除去することに多大なエネルギーを費やしています。一方、生物システムは、ゆらぎを活用することによって、非常に小さなエネルギー消費で巧みに機能と構造を維持しています。その仕組みを理解し、応用することによって、超低エネルギーかつ変動に強い情報通信システムの実現を目指しています。

脳に学ぶ情報科学技術

 生命が情報処理に特化して進化させた器官が私達の脳です。脳は数百億もの神経細胞が結びついた巨大なネットワークであり、神経細胞間の情報伝達によって頑健でかつ柔軟な情報処理を実現しています。そこでは、自己組織化やゆらぎ、可塑性など、既存の情報処理システムには無い仕組みが巧妙に組み合わされ利用されています。脳の情報処理原理を解明し、それを応用した新しい情報通信技術を実現していきます。

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan