脳情報通信融合研究センターへの参画

情報ネットワーク学専攻 | 村田 正幸

 大阪大学と独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は、従来からフォトニックネットワーク技術、バイオICT、ナノICT等に関する共同研究や連携大学院協定、研究員交流などの形で連携を推進してきていましたが、新たな融合研究基盤として平成23年にNICT、ATR、大阪大学が中心となって脳情報通信融合研究センター(通称CiNet; Center for Information and Neural Networks)を発足させました。

 CiNetでは「脳の機能に学んだネットワーク」や「こころ」を伝えることができる情報通信」の実現を目指して、脳科学と工学分野、特にICT分野、さらには心理学や認知科学との融合領域における研究開発を推進しています。具体的には、生命システムに学ぶ複雑制御の仕組みを情報通信システムに応用するための研究開発や、ヒトの脳の高次機能の理解によってコミュニケーションの快適かつ効率的実施を助け、促進するための研究開発などに取り組んでいます。特に学際的な研究分野である脳情報通信分野において、脳機能の原理解明やその社会への応用を図る上で、科学(基礎的研究)と工学(応用的研究)の領域で高い研究開発能力を有するNICT、ATR、大阪大学が連携することはたいへん意義のあるものと考えています。

 CiNetが掲げる目標は以下のとおりです。

1. 脳の機能に学んだネットワークの実現

膨大な数の神経細胞を有する極めて複雑な組織体である人体を、様々な環境の中で制御している脳の機能を解明膨大な数の神経細胞を有する極めて複雑な組織体である人体を、様々な環境の中で制御している脳の機能を解明することにより、爆発的に増大するトラフィックニーズに対応でき、拡張性、頑強性、自律性、環境適応性、自己修復性等に優れ、かつ、極めて低エネルギー消費の新世代のネットワークの実現に寄与する。

2. 「こころ」を伝えることができる情報通信の実現

人の目、耳といった器官を通じることを前提として、視覚情報や聴覚情報の伝達を行う現在の情報通信の方法では伝えきれないアイデア、イメージ、感動、感情など様々な心の状態を情報として伝えられるようにするため、脳の働きと伝えたい情報の相互関係を計測・分析し、把握する。

3. 新しい情報通信パラダイムの創出

これら脳情報通信に関する研究開発により、「いつでも、どこでも、誰にでも、こころも」伝える新たな情報通信パラダイムを創出する。

 そのために、以下の4つの研究領域が組織されています。

HHS(Heart to Heart Science)

こころとこころのコミュニケーションを脳機能から科学する

BFI(Network Brain-Function installed Information Network)

ヒトの脳機能に学ぶ、桁違いの省エネルギー情報通信ネットワークの構築する

BMI(Brain-Machine Interface Technology)

高度なヒューマンケアと未来型コミュニケーションを実現する情報通信の基盤技術としてのブレイン・マシン・インタフェースを研究開発する

計測基盤技術(Brain imaging Techniques)

先端的脳機能計測技術を研究開発する

 現在、CiNetのセンター長は柳田敏雄大阪大学特任教授、副センター長は当研究科の西尾章治郎教授が務めており、情報科学研究科からはBFI研究領域に(旧)今瀬研究室、前田研究室、村田研究室、若宮研究室が参画し、研究開発に精力的に取り組んでいるところです。

 なお、平成23年3月6日にはCiNetの建物の開所式も開催され、来年度からその研究推進活動が一層加速化されることが期待されています。

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan