分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク
enPiT とCloud Spiral について

情報科学研究科長 | 井上 克郎

 高齢化、エネルギー・環境問題、東日本震災からの復興等に加え、日本の産業の国際競争力の低下など、現在、日本は様々な課題を抱えています。これらの課題に対し、情報通信技術を活用して解決することのできる人材が社会から強く求められています。

 このような要請を受け、大阪大学が全国の15大学の中心となって「分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク」(通称enPiT(Education Network for Practical Information Technologies))という事業を平成24年度よりスタートさせました。enPiTでは、大学間または大学・企業間で緊密に連携をとりながら、社会の新たな価値や産業の創出を情報技術の応用を通じて行える人材育成を行います。具体的には、クラウドコンピューティング、セキュリティ、組込みシステム、ビジネスアプリケーションの4つの分野を対象に、グループワークを用いた短期集中合宿や分散PBLを実施し、世界に通用する実践力を備えた人材を全国規模で育成することを目指します。

 我々大阪大学は、神戸大学と連携し、クラウドコンピューディング分野の教育をCloud Spiral(Cloud Specialist Program Initiative for Reality-based Advanced Learning)と称して平成25年度より開始いたします。Cloud Spiralでは、ビッグデータの分析手法、新しいビジネス分野の創出といった社会の具体的な課題に対して、クラウド技術を活用し課題解決ができる人材を育成するプログラムです。今までIT Spiralでは、エンタープライズ系のソフトウェア開発の実践的教育を行なって来ましたが、カリキュラムを大幅に変え、クラウドの原理、ハードウェア、基盤ソフトウェア、ミドルウェア、アプリケーションすべての部分が理解でき、実際に利用できるような講義を用意すると共に、夏季に1週間の合宿を2度行い、実践的な知識が身につくように演習を行います。また、グループで、実践的なクラウドアプリケーションを作成するPBL(Project Based Learning)を、分散環境で実施します。

 対象となる学生は、これら2大学の大学院修士1年生の他、和歌山大学、大阪工業大学など、近畿圏の大学の修士学生や一般社会人も参加する予定です。また、夏期合宿には九州工業大学からも参加予定です。今後、これらの大学を核として、この教育プログラムが大きく日本全体に拡大していくよう、活動を行なっていきます。

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan