研究科における海外インターンシップ

マルチメディア工学専攻 | 藤原 融
情報ネットワーク学専攻 | 山口 弘純

 本研究科では、教育・研究の国際化と高度化を目的として、平成17年度から20年度まで文部科学省による大学教育の国際化推進プログラム(戦略的国際連携支援)の支援により、「融合科学を国際的視野で先導する人材の育成」(通称:PRIUS)という取り組みを実施しました。この取り組みでは、環太平洋諸国の研究機関や大学と連携し、様々な科学と情報科学の融合科学分野を国際的視野で先導できる優秀な人材を育成すべく国際的な人材育成ネットワーク(PRIUS: Pacific Rim International UniverSity)を構築しました。このネットワークのもと、毎年4~7名の学生を海外インターンシップに派遣しました。

 その成果を生かして、平成21年度から日本学生支援機構(JASSO)留学生交流支援制度(短期派遣)〈プログラム枠〉に「最先端情報科学を担う国際的人材の育成」と題するプログラムを提案し採択されています。21年度は3名の奨学生枠でしたが、 22年度は4名に、23年度からは5名になりました。また、24年度からは、文部科学省による博士課程教育リーディングプログラムに、「ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム(HWIP)」が採択されました。24年度にはHWIPでの海外インターンシップ試行に注力したこともあり15名の学生(博士前期課程8名、博士後期課程7名)を派遣しました。今年度は、10名の学生(博士前期課程7名、博士後期課程3名)が海外の研究機関へ赴きました。

 以下では、このうちの一部について学生からの報告に基づき研修内容を記します。すべての学生の報告については、研究科WEBのトップページから「教育活動→高度教育活動→教育の国際化」を辿ってご覧ください。

 米国のUniversity of California, Santa Barbara(UCSB)に派遣した学生は、Tobias Hollerer先生の指導のもとで、コンピュータグラフィックスの拡張現実感(AR)に関する研究を行いました。AR技術を使ってバーチャル空間と実空間の幾何学的整合性を得る方法の一つとして、事前作成した現実環境の特徴点DBとシーン中の点をマッチングしてカメラの自己位置推定を行う方法がありますが、光源環境が変化した場合にマッチング精度が低下する問題が知られています。この課題に対し、Four Eyes Labで開発されたCity of Sightsモデルを用い、異なる光源環境における画像特徴の頑健性を網羅的シミュレーションで調査しました。その結果、光源環境の一致しているDBを使用した場合はより正確なマッチングが得られることや、影部分がマッチング誤りの誘因の一つであることなどが確認できました。また、撮影画像を用いて自己位置推定の成功率を導出した結果、どのDBを利用した場合も光源環境が同じであれば成功率が高いことも検証しています。

 スイスのEcole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL)に派遣した学生は、Jamie Paik先生の指導のもと、ピエゾセンサの小型・集積化のための製造法改良に取り組みました。ピエゾセンサは電圧差で力の大きさを測定でき、ロボットの人工皮膚や外科器具への応用が期待されています。派遣先の研究室では小型でフレキシブルなピエゾセンサ開発を目指していますが、エッチングによる製造では小型化が困難という課題がありました。これに対し、エッチングを利用せずレーザー加工機で電極と電気回路を作成することで、従来法よりも簡易かつ小型精細な回路作成が可能なことを示しました。この成果が評価され、インターンシップ終了後も引き続き共同研究を行う予定です。

 マレーシアのUniversiti Teknologi Petronas(UTP)に派遣した学生は、天然ガスパイプラインを通過するガス流量を測定する機器における測定異常値の補正の正しさを検証するソフトウェアの研究開発を行いました。人為的誤りや改変防止のため、推定正常値と補正値に対するガスエネルギー量を比較検証する必要がありますが、その正常値推定のために Artificial Neural Network(ANN)を用いた機械学習を採用し検証システムに実装しました。今後は実地試験やユーザフィードバックに基づく実用化も検討される予定です。

 紙面の制約で紹介しきれませんでしたが、この他にも、ニュージーランドVictroia University of Wellington、米国University of California, Irvine、ポルトガルUniversidade Nova de Lisboa、ドイツTechnische Universitat Munchen、フランスInria Bordeaux Sud-Ouest 等に派遣された学生達が研修活動を行いました。海外インターンシップに派遣した学生達はすべて、充実した海外生活を体験するとともに、国際的人材の育成の趣旨にみあった活動をおこなっており、研究科の国際化は順調に進展しています。最後になりましたが、インターンシップにご協力いただいた皆様に感謝いたします。

PAGE TOP

©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan