SecCap

マルチメディア工学専攻 | 矢内 直人

 SecCap(enPiT-Security)は社会・経済活動の根幹にかかわる情報資産および情報流通のセキュリティ対策を技術面・管理面でけん引できる実践リーダーの育成を目指すプログラムです。また、その実践的な人材育成のノウハウを全国の大学に広めることで、我が国全体が必要とする人材の育成体制の構築も目指しています。SecCapは情報セキュリティ大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学、北陸先端科学技術大学院大学、東北大学、慶應義塾大学を中心にプログラムが展開されていますが、大阪大学も7つあるPBL 演習のうち3つの提供、および、学生のプログラム履修参加など重要な役割を担っています。

 SecCapのプログラムの特徴は、セキュリティに関する最新動向や知識を幅広く取り上げ、一年間集中的に学ぶことにあります。新学期には暗号をベースとする情報セキュリティ技術やネットワークセキュリティなど技術的な基礎知識を習得し、夏休み期間には数日間の短期集中型講義として実践型の演習を行います。これらの演習では技術的な観点だけではなく、法制度やリスク管理など社会科学的な内容まで網羅的に学びます。演習のなかには情報通信研究機構やNTTコミュニケーションズなど産官学で連携して行っているものもあります。このような大きな枠組みで演習を実施することもSecCapの特徴の一つです。また、秋に入るころには、これまでに習得した能力をさらに応用すべく、最新の技術動向などを学習します。

 SecCapの具体的なカリキュラムは「基礎知識学習」「演習(実践セキュリティ演習・PBL)」「先進科目(応用知識等)」から構成されます。基礎知識学習は共通必修科目である情報セキュリティ運用リテラシーと、各大学におけるセキュリティ関連の基礎科目からなります。大阪大学では情報セキュリティ、情報ネットワーク設計論、コンテンツセキュリティ、マルチメディアネットワークが該当します。これらの履修を通じてセキュリティやネットワークにおける基本かつ広範な知識を習得します。

 演習ではより実践力を高めるべく、実機を用いた課題に取り組みます。SecCap全体では21個の演習モジュールがあり、大阪大学ではこのうち、無線LANセキュリティ演習、システム攻撃・防御演習、システム侵入・解析演習の3個を実施、リスクマネジメント演習、インシデント体験演習、IT危機管理演習、ハードウェアセキュリティ演習、情報セキュリティ演習の5個に参画しています。これらの演習ではWEP の破り方やDNSへの毒入れ攻撃などシステムの技術的脆弱性の観点はもちろん、セキュリティインシデントに対する行動指針の策定や対策とコストのトレードオフの考慮など管理能力の観点における課題も実施します。各演習の最後には成果発表会を行うことで、学生自身がその演習で何を学んだか、また、どのような技術や能力が今後必要になるかを相互に確認しあう機会を設けています。また、一部の演習ではマルウェア対策研究人材育成ワークショップ(MWS)やキャプチャー・ザ・フラッグ(CTF)など産業界が主催するセキュリティコンテストにもチームを組んで参加し、最新のマルウェア対策課題・セキュリティ課題にも挑戦しています。
 また、これら一連の学習を踏まえて、先進科目では実際に利用されている技術や最新の脆弱性動向を含めた内容を学びます。

 SecCapの修了条件は共通科目2単位、演習2単位以上、先進科目2単位以上、および所属大学に指定される基礎科目4単位以上の計10単位以上を取得することです。この要件を満たしたものには3月に開催されるSecCap修了認定授与式にて修了認定証を授与しています。SecCap認定の中でも共通科目、演習、先進科目で10単位以上、および基礎科目4単位以上の合計14単位以上を習得したものにはSecCap10と呼ばれる情報セキュリティ・スペシャリストの認定が与えられます。大阪大学ではとくにこのSecCap10を推奨しています。

 平成26年度は大阪大学から4名の学生がSecCapプログラムを履修しました。受講生にはセキュリティはもちろん、Linuxやターミナル操作に全く経験のない学生もいました。プログラム開始当初のカリキュラムではこれまで経験のない内容に苦労をしていましたが、演習を重ねるにつれ、各々の能力が洗練されていくところが見受けられました。また、北海道にて2014年10月に開催されたMWS 2014にもSecCap全体でチームを組んで参加しました。MWSは残念ながら上位入賞は叶いませんでしたが、受講生一人一人がグループワークの中で自分が得意とする分野の観点で考察し、課題に挑戦していました。2015年3月9日、一年間の努力が実り、SecCap修了認定授与式を全員が迎えることができました。

演習風景

演習風景

演習結果発表会風景

SecCap修了認定授与式

(一部画像引用元:SecCapWebページ, http://www.seccap.jp/

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan