ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム

プログラム教務委員長 | 増澤 利光

 情報科学研究科では、文部科学省博士課程教育リーディングプログラム・複合領域型(情報)に平成24年10月1日付で採択された「ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム(HWIP)」を推進しています。本プログラムでは、平成25年度から履修生を迎え入れ、平成26年度は第1期(24名)および第2期(20名)履修生とともに、教育研究活動に取り組みました。

 ヒューマンウェアとは、生命システムなどが持つ柔軟性、頑強性、持続発展性を有し、人間・環境に調和した情報社会を構築するための「情報ダイナミクス」を扱う技術です。ヒューマンウェアに関わる革新的技術を開発するには、「認知ダイナミクス」と「生体ダイナミクス」に対する深い理解と洞察に基づいた、融合領域でのイノベーションが必要です。そこでHWIPでは、大阪大学の情報科学研究科、生命機能研究科、基礎工学研究科の3研究科の連携の下、情報、生命、認知・脳科学の3領域のダイナミクスを共通的に捉え、これらの融合領域でイノベーションを起こすことのできる「ネットワーキング型」の博士人材を育成することを目的としています。特に、広く産官学にわたりグローバルに活躍するリーダー人材(Global Principal Investigator : GPI)を輩出するため、博士課程前期・後期を一貫した世界に通用する学位プログラムを構築・展開しています。

 HWIPでは、ヒューマンウェア融合領域研究におけるGPIを育成するために、特色あるカリキュラムを1年次から展開しています。例えば、「ヒューマンウェアイノベーション創出論」(1年次)では、各種分野の企業や研究所から講師を招き、それぞれの業種での融合領域におけるイノベーションの事例を紹介いただき、融合領域におけるイノベーションを可能とする技術的要件、社会・経済的要因やイノベーションをリードする人材の資質などについて、講師と学生の間で活発な意見交換を行っています。また、融合領域研究の円滑なスタートアップをサポートするために、「ヒューマンウェア基礎論」(1年次)という科目を平成26年度に開設しました。この科目では、特任教員の主導の下に、学生が情報、生命、認知・脳科学の3領域の基礎知識とスキルを獲得・共有し、融合領域研究のオンザジョブ・トレーニングを実施しています。これら以外にも、融合研究のための徹底議論(斉同熟議)を行う合宿、研究室ローテーション、産学講義と企業取材、アウトリーチ活動、価値創造ライティング、少人数制の英語教育、国内外でのインターンシップ、海外短期派遣など、多様なカリキュラムを展開しています。履修生の取り組みも積極的で、カリキュラム外の活動として、外部講師による講演会やワークショップを自ら企画して実行しています。また、平成25年度の合宿活動の一環として訪問した沖縄科学技術大学院大学(OIST)の学生が、平成26年8月に本学を来訪し、HWIP履修生とのポスター発表など学生間交流を行いました。また、平成27年2月にはシドニー大学(オーストラリア)をHWIP教員3名と履修生4名が訪問し、HWIPの海外展開についての議論、学生間相互プレゼンテーションを含む学生間交流を行いました。

 平成26年11月には、ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム・大阪大学未来戦略シンポジウム「ヒューマンウェアで描く未来~リーダー育成への布石~」を千里阪急ホテルで開催しました。予定していた120名を大きく上回る200数名の参加者があり、HWIPへの強い興味と期待をいただいていることを再確認させていただきました。里見朋香・文部科学省高等教育局大学振興課長による基調講演「博士課程人材の育成におけるリーディング大学院への期待」では、博士課程人材を取り巻く現状と将来についてご説明いただき、「産官学が一体となり社会の人材需要を客観的に把握した上で学位プログラムを構築し、社会の多様な場面で活躍するリーダーを育成してほしい」との励ましのお言葉をいただきました。また、「イノベーションの方向性を考える」、「博士人材が描く未来」、「博士人材を活かす環境づくり」をテーマに行った3つの公開討論では、HWIP教員、履修生、企業等からの担当者の間で、HWIP人材育成の現状と将来展望について、熱いディスカッションが繰り広げられました。

 履修生のカリキュラム達成度や進捗については、学外委員や他領域の教員を含めた学生アドバイザリ委員会を学生ごとに構成し、年2回の評価と学生へのアドバイスを行っています。また、GPIとして活躍するために、HWIP修了時までに履修生が備えるべき、デザイン力、コミュニケーション力、マネジメント力に関する資質を、GPIスキル標準25項目として定めています。学習・研究計画の策定や見直しに役立てるために、履修生自身と指導教員によるGPIスキル熟達度診断を毎年実施しています。このGPIスキル診断をWebで行えるシステムを開発し、GPIスキル熟達度の確認をいつでも、どこにいてもできる環境を提供しています。

 平成27年度には、1期生が履修3年目を迎えます。これまでの2年間の教育研究活動を通じて得た、融合領域研究のための基礎知識や研究展開の着想を基に、融合領域研究に本格的に取り組んでいくこととなります。また、産学連携によるイノベーション実践演習、学外や海外で活動するインターンシップも始まり、新たに迎える3期生を含め、HWIPに参画している学生、教員が一致団結して、より活発で効果的な教育研究活動を展開していく所存です。 末筆ながら、HWIPへの皆様の暖かいご協力とご支援をお願いいたします。なお、より詳しい情報は、次のURLを参照ください。
http://www.humanware.osaka-u.ac.jp/

「イノベーション創出論」の実施状況

シンポジウムでの公開討論の様子

アウトリーチ活動でのポスター発表の様子

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©Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University, Japan