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海外インターンシップ体験記(齋藤 和正)

海外インターンシップ体験記(齋藤 和正)

はじめに

2016年8月7日から2016年9月3日までの約1ヶ月間、アメリカ合衆国カリフォルニア州のUniversity of California, San Diego(UCSD)のTray Ideker研究室において研究開発を行いました。開発内容と現地での生活について報告します。


サンディエゴ

サンディエゴはアメリカ西海岸にあり、メキシコとの国境に位置しています。一年を通して暖かい気候であり過ごしやすく、雨も滅多に降りませんが、日中は日差しが強いです。 また、海軍や海兵隊の基地が数多くあり、アメリカ太平洋艦隊の基地が設置されています。自然なども海や山もあり豊かで、観光地としても有名な施設や場所が多くあります。 有名なラホヤというビーチに私もいく機会があったのですが、綺麗な夕日などを見ることができました。


ラホヤのビーチの夕日の様子


カリフォルニア大学サンディエゴ学校の風景


サンディエゴで食べた料理


研修内容

バイオ系のネットワーク解析及び可視化ツールのデファクトスタンダードであるCytoscapeの開発を行っているIdeker研究室で、Cytoscapeをプログラム上から使用する際のワークフローの開発を行いました。

Cytoscapeはネットワークの可視化や分析を行うためのオープンソースプラットフォームです。そのCytoscapeでは、デスクトップアプリとしてGUIベースで操作ができるものだけでなく、Cytoscapeをプログラム上から使用するためにAPIを使うことができます。そのAPIのラッパーとして、PythonとRを用いたもので、それぞれpy2cytoscapeRCy3というものも用意されています。

これにより、ユーザーはよく行うネットワーク解析フローなどをプログラムで行うことができ、ネットワークの解析を効率よく進めることができます。しかし、ネットワーク解析をプログラム上から行おうとした際に、必要になるライブラリなどは多いため解析の環境構築は容易ではなく、依存関係のあるバージョンの差異などでサンプルプログラムが動かないことが多々あります。また解析のフローなどがなければ、比較的計算機スキルがある生物学者でも、これを行うことは難しいと考えられます。

そこで今回は、計算機のスキルが比較的高い生物学者を対象とし、使うことの多いRとPythonを使った生物学的ネットワーク解析と可視化の基本的ワークフローを実行可能なノートブックとして作成しました。これと合わせて、Dockerを用いたネットワーク解析のための環境構築のためのDocker Imageの作成も行いました。


研修の成果

実際に行ったこととしては、次の4点です。

  • Dockerによるネットワーク解析に必要なPython及びRの依存関係の有無を考慮した安定な開発環境の構築
  • CytoscapeをAPIであるcyRESTのラッパーであるpy2cytoscape及びRCy3を用いたネットワーク解析のクックブックをJupyter Notebookで作成
  • py2cytoscape及びRCy3のパッケージのアップデート
  • 生物学的ネットワーク解析のリアリスティックなワークフローをJupyter Notebookにて作成

初めて扱うツールなどが多かったのと、APIに関するドキュメントが少なかったため、ワークフローの開発などは苦労しましたが、担当の方やチームの方のアドバイスもあり、作業を進めることができました。


おわりに

今回のインターンシップでは、様々なネットワーク解析を行う際のツールを学ぶことができました。それだけでなく、バイオ系のネットワーク解析を行う方法や、ネットワークの可視化といったことも学ぶことができました。

インターンシップ期間中は、研修内容についてもそうですが、現地での生活や文化、チームで仕事を行う時の考え方の違いなど、多くのことを学ぶことができました。短い期間でしたが、アメリカでのこの時間は、今後の自分の研究や活動などに対する考え方などに大きく影響すると思います。

最後に、海外インターンシップに参加する貴重な機会を設けてくださいました情報科学研究科、松田先生、受け入れを承諾して頂き研究に関して多くのアドバイスを頂き、また現地での生活に関してアドバイスをいただいたIdeker研究室のCytoscapeチームのみなさん、大学での生活をサポートして頂きましたCurtis, Charlotte氏に深く感謝申し上げます。