海外インターンシップ: NTU研修体験記(成重 篤志)
NTU研修体験記(成重 篤志)

 私は2009年8月1日から10月29日までの90日間、PRIUSの海外インターンシップ制度を利用して、シンガポールのNTU(Nanyang Technological University)にて共同研究を通じた研修を行いました。ここでは、現地での研究内容や体験したことについて紹介いたします。

研究内容
 NTUでは、PDCC(Parallel & Distributed Computer Centre)という研究室に配属されそこで、Bu-Sung Lee先生およびPh.Dの学生であるYu Shyang Tan氏の指導のもと、 Hadoopを用いた分散処理についての研究を行いました。Hadoopは大規模のデータを高速に、効率的に、かつ安全に分散処理を行うための フレームワークであり、Googleが開発したMap Reduceアルゴリズムのオープンソース実装です。Apacheによりプロジェクトが進められて いますが、他にもYahooやClouderaなどがサポート及び、開発を行っています。Map Reduceアルゴリズムの他にも大規模のファイルを安全 に保存し高速にアクセスできるGoogleのファイルシステムGoogle File System(GFS)のオープンソース実装も行っておりHadoop Distribut ed File System(HDFS)として利用することができます。これを用いることで大きなファイルをブロック単位に分解して各ブロックを多数 のクラスターに複数保存することができ、ひとつのクラスターがダウンしてしまった時にもデータを失うことなくサービスを継続する事 ができます。
 この研究は私が日本の大学で行っている研究とは関係なく、その名前すら初めて聞いたものであったため、初めはどうすればいいか 分かりませんでした。しかし、週一回のLee先生とのミーティングやチームの先輩方に教えてもらいつつ研究を進めることで徐々に理解 していき、Hadoopを用いて大規模データの解析を行いLee先生の論文にデータ提供することができました。
 

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大きい方のマーライオンの前 会議後の食事会にて


研究室での生活
 私が研究を行っていた研究室について紹介します。私が配属された研究室は非常に広く、多くのデスクと新型の計算機が配備されて いました。研究室内にミーティングルームがあり、そこで外部の人を呼んでセミナーを行ったり、研究室の学生が他の学生に対して 自分の研究内容を紹介する事も周期的に行なっていました。研究室内に多くの学生がいるためなかなか隅から隅まで話しあうことが 難しいためこのような機会にお互いの研究を知り合うようでした。
 研究室内は、6、7個の机からなる幾つかの島があり、私の配属された島は中国人2人、タイ人1人、ヨーロッパ系1人、シンガポール人 1人とシンガポールの多民族国家を表すような感じでした。ランチや遊びに行くのはだいたいその島の人たちと行っていました。規模が 大きいため研究室の学生全員で何かをするということはあまりなかったのですが、一度NTUの敷地内にある施設を使って研究室の学生 全員でバーベキュー大会をしたことがあり、そのとき普段あまり話したことがない学生とも話すことができました。
 私は食事はだいたい3食ともNTU内で食べました、NTU内にはたくさんのカンティーンがありまたそれぞれのカンティーンでメニューも ことなっていたので飽きることなく、様々な料理を低価格で食べることができました。1食の値段は3〜4SGDで、(1SGD=約65円)で ステーキのような高くても6SGDと日本では考えられないような低価格で美味しい料理を頂くことができました。しかしそれでも、インド ネシアやタイからの学生曰くシンガポールの食事は安くないとのことだったので、いかに日本の物価が高いのかを再認識しました。

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研究室内部の光景 PDCCのメンバーでの食事 バーベキュー大会の様子


シンガポールでの生活
 私たちは大学と同じJurongにあるスチューデントホステルに滞在しました。スチューデントホステルの敷居内にはスーパーマーケット があり食料品や簡単な日用雑貨(爪切り、シャンプー等)はそこで揃えることができました。スチューデントホステルの前からはNTUと MRTステーションに向かうバスが出ておりNTUに行くのも、駅に向かうのも非常に便利でした。駅にはJurong Pointという大きなショッピ ングセンターがあり、そこで円の両替や衣服の購入することができました。私はあちらについたばかりの時、風邪をひいてしまったので その時に風邪薬をそのショッピングセンターで購入しました。
 私は、平日はNTUで研究、休日はシンガポール内を観光という暮らしをしていました。移動手段はMRTとバスでした、シンガポールは 国土が狭いせいか路線が非常にシンプルで主要な場所には駅があるので、行きたい場所に行こうと思って迷うことはありません。一度 本屋で日本の線路路線図をあちらの友人に見せたところ、その複雑さに驚いていました。
 シンガポールは非常に狭い国土として有名ですが、その中には大都市やスポーツ施設、自然公園など様々なものがあり、非常に密度 の濃いところであると感じました。生活するのに必要なものは全てあり困ることはなく、唯一私があちらで恋しかったのは風呂だけで した。

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最寄のMRTステーションにて 植物公園


シンガポールについて
 最後に、シンガポールについて紹介します。シンガポールは中華系、マレー系、インド系と様々な人種が暮らす国です。それぞれの 民族は自分たちの文化をシンガポール内に形成しています。China Town、Little India、アラブ通りなどそのことを表した街並みが あり、ひとつの国とは思えないほどのバリエーションがあります。また、名前はついていなくても、タイ人が多く暮らす街などはその 街内にあるショッピングセンターではタイ語の表記が多く見られたりします。
 シンガポールの公式の休日はニューイヤーズデイ(1月1日だけ)、ナショナルディの2日程度しかなく非常に少ないのですが、様々な 文化のお祭りや宗教的行事があるためその時は休日となります。国民の7割が中華系とあって中国のお祭りも幾つかあるのですが、その 中で私が滞在した期間中に中秋の名月があり、そのときChina Townはライトアップされ非常に綺麗でした。滞在中にあったイベントとし て、シンガポールでは9月の後半にF1サーキットが開かれます、そのF1サーキットはサーキット会場で行われるのではなくシンガポール の中心都市City Hall周辺の道路を使って行われるものです。開催日になると街全体に交通規制とバリケードによる通行規制が行われ チケットを持たない人はレースを見ることができません。当日売られるチケットは非常に高価であるため、もしレースに興味があるの なら早めにチケットを購入しておくことをお勧めします。
 シンガポールの気候は赤道直下ですので1年を通して温暖湿潤です。季節は雨季と乾季の二つしかなく、雨季の方が涼しいとのことでし たが、どちらも暖かかったです。しかし室内は非常に冷房が効いており温度差がかなり激しいです。外を歩いているうちに汗が出て、 そのままMRTに乗ると急激に体が冷やされてしまいます。私はそういった情報はこのプロジェクトの先輩方から聞いており、忠告通りに 長袖を持っていったのですが、やはり風邪を引いてしまいました。風邪薬を多めに持っていくことをお勧めします。
 シンガポールは罰金の国というジョークがあるくらい、法律が厳しくそのため治安は非常に良いです。また私が滞在した期間は丁度 新型インフルエンザが世界で流行していた時期でしたが、あちらでのチェックは非常に厳格で大学内の建物やスチューデントホステル に入るとき、その門のところで検温しなければならず異常体温だと入れないようでした。
 

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中秋の名月の街並み F1サーキット見物


まとめ
 海外の大学で研究を行い3ヶ月間滞在するという経験は私にとって非常に価値あるものでした。海外インターンシップに応募するとき 私はそれほど英語が得意ではなく、また旅行でも海外に行ったことがなかったため不安がありました。しかし、こんな機会はもうこれ を逃すと無いのではないかと思い、思い切って参加に応募しました。結果として研究内容以上にたくさんの事を得ることができたと思い ます。
 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった大阪大学・NTUの先生方、研究室で研究分野の事やそれ意外に色々と付き合って くれたPDCCの皆様に改めて感謝したいと思います、本当にありがとうございました。

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Lee先生とPDCCの皆様との食事風景