UCSD 研修体験記 (藤原 由来)

はじめに

2010年10月2日から12月30日までの約3ヶ月間、アメリカのカリフォルニア大学 サンディエゴ校(University of California, San Diego; UCSD)にて滞在し、研 究を行いました。ここでは、現地での研究内容やアメリカでの生活について報 告します。

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きっかけ

私は、以前より先輩方から海外インターンシップの話を伺っており、海外留学 に興味を持っていました。渡航先を決めた直接のきっかけは、2010年3月の海外 発表でした。

私は、PRAGMAという研究コミュニティが主催するワークショップで発表するた めに、UCSDへ訪問しました。PRAGMAは、グリッドコンピューティングに関する プロジェクトがいくつかあり、色々な話を聞くうちに、PRAGMAに貢献したいと 思う気持ちが芽生えました。また、滞在を通じて、カリフォルニア独特の気候 の穏やかさと、落ち着いた大学の環境を肌で感じ、こんなところで研究してみ たい、と思うようになりました。その頃、海外インターンシップについてのお 誘いがあったため、私はUCSDを渡航先として志望し、PRAGMAのプロジェクトの 1つである仮想計算機クラスタのプロジェクトについて関わることにしました。

San DiegoとUCSDについて

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San Diegoはアメリカ最南端に位置する、カリフォルニア州の中の街です。メキ シコと接しており、街中にはスペイン語を話す人も多くいます。UCSDのある場 所はLa Jolla(ラホヤ)という地域で、大学から自転車で20分ほど走ると、海 沿いの綺麗な風景が見られます。気候的に非常に過ごしやすく、11月でも昼間 は長袖1枚で過ごせるほど暖かい地域でした。

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UCSDは広大な敷地を持ち、学部生の64%が白人以外の人種で、44%がアジア人と いう非常に国際色豊かな大学です。メインストリートを歩いても、中国系・韓 国系の学生が非常に多く、カフェテリアには多くの国の料理が選べます。特に、 ベジタリアン向けのメニューが充実しており、インドカレーの店ではハラール (イスラム教の教義に沿った食べ物)の表示があるなど、マイノリティへの細 かい配慮を感じました。

研究内容

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私は、複数拠点間をまたぐ仮想クラスタの構築手法について研究を行いました。 通常の計算機クラスタは、シミュレーションを行う科学者の間で一般的に利用 されており、クラスタで計算するためのAPIやソフトウェアも多く存在します。 仮想クラスタとは、仮想計算機を複数台接続した計算機クラスタのことで、物 理計算機の制約に縛られない、オーダーメードの均一なクラスタを構築できる こと、ユーザ間での資源共有のしやすさなどの利点があります。

一方、PRAGMAに所属する研究機関・大学では、(物理的な)クラスタが研究者 向けに提供され、実際に計算資源の共有が行われています。このような現状を 踏まえて、複数拠点に点在するクラスタをまとめ、1つの大きな仮想クラスタと して利用したいという要望が高まっています。

しかし、このような複数拠点間仮想クラスタを実現するためには、ファイア ウォールやNAT (network address translation)など、各サイトでのネットワー クポリシーに由来する制約が問題となります。私の研究では、この制約を乗り 越えるために、P2P技術を利用してネットワーク上の障壁を隠蔽したネットワー ク(オーバレイネットワーク)を構築し、その上で仮想クラスタを構築する手 法について検討し、実装を行いました。

実際の研究生活では、週1回、英語でのミーティングを行い、最後に発表を行い ました。特に、指導教員のJason Haga氏からは、シミュレーションを行う科学 者(ユーザ)目線からのアドバイスを多くいただきました。また、クラスタ自 動構築ツールRocksの開発者とも直接面談する機会に恵まれ、研究で提案する手 法をRocksの上で実装する方法についても具体的な助言をいただきました。私は 日本でもこの研究を続け、最終的にはこの手法をRocksの機能としてリリースす ることを目標としています。

アメリカでの生活

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サンディエゴは食には困らない環境でした。日本の食材も、味噌や豆腐など基 本的なものなら近くのスーパーで揃いますし、車で連れて行ってもらえるなら ば、日本と全く同じ品揃えのスーパーもあります。また、中華・メキシコ系の 食材も充実しています。私は、アパートに置いてあった、本場中国の食べるラー 油に感動して、自分用のお土産に買って今も食べています(笑)

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サンディエゴの名物の1つが、Sea Worldという水族館とテーマパークが融合し たところです。シャチやイルカのショーもド派手で凝っていて、ずいぶんと楽 しめました。なお、ショーの席は、前方10列ぐらいにいると確実にずぶ濡れに なります。

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11月25日は感謝祭 (Thanksgiving day) という収穫を祝うお祭りで、友人にパー ティへ連れて行ってもらいました。大きなターキーをみんなで食べ、麻雀をし たり映画を見たりしました。(麻雀のルールは日本とほぼ変わりませんでした が、「白」に柄が付いていたのにビックリしました。)

おわりに

以上、研究内容とアメリカでの生活についてお話しさせていただきました。ア メリカに行って感じたことや考えたことは多くありますが、最も強く感じたこ とが、「相手の文化を尊重し、自分の文化も大切にすることが今後ますます重 要になる」ということです。私のいたカリフォルニアは多国籍社会で、相手が アメリカ人であることすら前提でない場所でした。そのような環境で過ごした 経験や肌感覚は、一生忘れられないものになるでしょうし、これからの国際化 社会においても強みになると確信しております。

最後に、渡航にあたって多くのサポートをいただいた伊達進 准教授、メンター として生活から研究まで助けていただいたJason Haga氏、そしてアパートの提 供をはじめ多数のご援助をいただいたPeter Arzberger氏とTeri Simas氏に深く 感謝を致します。