UCSF 研修体験記 (犬石 浩嗣)

はじめに

サンフランシスコ

サンフランシスコはアメリカ合衆国カリフォルニア州の北部に位置する都市で す。ケーブルカーにゴールデンゲートブリッジに加え、ゲイの聖地カストロス トリートなど多くの観光地を有するこの都市は、外国人のみならず、アメリカ 人からも非常に高い人気を誇っています。気候に関して、皆さんは「カリフォ ルニアだから一年中温暖なのだろう。」というイメージを持たれるかもしれま せんが、実際にはむしろ一年を通して涼し目な気候をしています。私自身、下 調べをしっかりせずに半袖短パンで行きましたが、空港に着いた時点で寒さに 凍えました。初日の晩に実家に電話して上着などを送ってもらうように頼みま したが、到着までの間我慢が出来ず結局パーカーを購入しました。

サンフランシスコの風景

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ケーブルカー

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ゴールデンゲートブリッジ

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カストロストリート

UCSF (University of California San Francisco)

UCSFは1873年に設立されたカリフォルニア州立大学群の一校で、医学系の学部 を中心とした、学部課程の存在しない大学院大学です。学校の特色から、一般 に理工系や文系の学生にはあまり知られていないものの、医学や薬学の分野に おいては世界でも指折りのレベルの高さを誇っています。これはアメリカの大 学院全てに共通して言えることかも知れませんが、中国を始めとした留学生の 割合が非常に高かったです。ただし、学部が存在しないことも相まって、言語 学習などを目的としての留学制度が確立されていないこともあり、日本人を見 かけることはほぼありませんでした。

UCSF

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研修内容

私は薬学部のAnthony C. Hunt教授の研究室においてシステムバイオロジーを学 びました。この研究室ではDDS(Drug delivery system)や再生医療への応用を目 指し、Human Alveolar Type 2 cell (AT2 cell) というヒトの肺胞細胞や Mardin-Darby Canine kidney cell (MDCK cell)というイヌの腎臓細胞などにつ いて、コンピューターシミュレーションを通してその形態形成(細胞同士が集 まること)や細胞死のメカニズムなどについての研究を行っています。研究室 は薬学部に所属しているものの、研究へのアプローチが実験ではなく、コン ピューターシミュレーションというドライワークであるために、殆どの学生の 学部時代の専攻は情報科学系でした。

私に与えられた研究課題は、既に研究室で構築されたAT2 cellの形態形成モデ ルに汎用性を持たせ、AT2 cellとは異なるメカニズムによって起こるMDCK cellの形態形成をシミュレート出来るようにすることでした。このモデルにお いては、各細胞の振る舞いというのはその環境条件(他の細胞が隣接している か、存在しているならどこにどれだけあるか等)によって決定されます。最初 に、このモデル上で各環境条件における細胞の挙動をAT2 cellのものからMDCK cellのものに変えることで、MDCK cellの挙動をシミュレート出来るかを調べま した。シミュレーション結果の正確性は論文から得られる実験値との比較を通 して行うのですが、上述の調整だけではMDCK cellの挙動を正確にシミュレート することは出来ませんでした。その原因を調べて行く中で、私はモデルにおい てある環境条件下でのアポトーシス(細胞死)の発生率が極端に高くなってい くことを発見しました。時間の都合もあり、プログラムを修正することはかな わなかったのですが、自分が海外の研究室に貢献出来たという確かな手ごたえ は得ることが出来ました。

私の大阪大学における研究では微生物の細胞内の代謝について学んでいるのに 対し、先方では細胞スケールでのシミュレーションを行っていました。シミュ レーションに用いるプログラミング言語やモデル構築の目的なども多く異なる ことがあり、学習は困難を極めました。しかし、ポスドクの学生を中心とした、 プログラミングの学習やモデルの助けもあり、充実した研究生活を送る事が出 来ました。

アメリカでの生活

私はサンフランシスコ郊外のシェアハウスにて滞在していました。住人達は皆 仲が良く、晩御飯を一緒に食べに出かけたり、日曜日にはバーベキューを行っ たりといった楽しいプライベートが得ることが出来ました。また、学外にも友 達を作ることでオフの生活をより充実させようと考えて、留学生向けに行われ ているイベントなどにも参加しました。結果、英語を学びに来た人、芸術を学 びに来た人、仕事を求めて身一つで人など、非常に幅広い友達を得ることが出 来、貴重な話や自分とは異なった考え方を知ることが出来ました。

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滞在していたシェアハウス

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芸術学校の友人たち

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語学学校に通う友人とそのチューター

そして幸運にも、かつて大阪大学に交換留学生として滞在していた友達と再会 する機会に恵まれました。一人は近くのカリフォルニア大学バークレー校に通っ ています。また、シアトルに住んでいる友達を訪問することで、カナダのバン クーバーに住んでいる友人とも再会することが出来、懐かしい気分に浸ること が出来ました。

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かつて大阪大学で学んでいたサンフランシスコの友人

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シアトル、およびバンクーバーの友人

英語

幸か不幸か、大学でもその他の場でも、私の友達は全て外国人でした。そのた めに全てのコミュニケーションを英語で行う必要がありました。私は学部時代 に英会話サークルの代表を務めていて、自身の英語力にそれなりの自信は持っ ていましたが、それでも海外は旅行で数回行ったことがある程度だったので、 意思疎通においては大いに苦労しました。発音などが不明瞭だった場合におい ても皆が理解に努めてくれたこと、周囲も私も軽い性格だったことが幸いして、 言語はコミュニケーションの問題になりませんでした。形はどうあれ、日々英 語漬けの生活を送っていたことが語学力の上達につながったようで、帰国した 翌月に受験したTOEICテストは900点となり、就職活動などでも自信を持って自 分の留学成果をアピール出来る根拠となりました。

おわりに

私はこの海外インターンシップを通じて、他国の研究室を見て学び、更には外 国における生活をも経験するといった貴重な経験を得ることが出来ました。こ の経験により、私はより世界への関心を強く持つことが出来、よるグローバル に活躍出来る人間に成長したいと考えるようになりました。

最後にこのような貴重な機会をくださった大阪大学情報科学研究科、UCSF、そ して清水研究室の皆さまに心よりお礼申し上げます。