GU 研修体験記 (須田 貴士)

はじめに

大阪大学の海外インターンシッププログラムで,2010 年 8 月 30 日から 2010年 9 月 28 日までの1ヶ月間,フランスのグルノーブルにある Grenoble Universities (グルノーブル大学) において研修を受ける機会を頂きました. ここでは,その体験についてご報告いたします.

グルノーブル

グルノーブルはフランスの南東部に位置する都市です.気温は大阪よりも 10℃程低く,山に囲まれた都市であるため,スキー場が多く,1968年には第10 回冬季オリンピックが開催されました.フランス革命のきっかけとなったと言 われている屋根瓦の日の市民の反発はグルノーブルで起こったものであり,シ ティセンターには屋根瓦の日の100周年を記念した像も建てられています.街の 至る所にカフェや公園があり,多くの人がそこでくつろいでいました.のんび りと時間を過ごす人の多い国だということを感じました.

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屋根瓦の日を記念した像

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街を流れる川を象徴した彫刻

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グルノーブルの公園

GU (Grenoble Universities)

GUは街の中心であるシティセンターからトラム(路面電車)で10分程度の場所 に位置しています.キャンパス内にトラムやバスが通っており,値段も一回の 乗車につき150円程度と非常に安いため,多くの学生がトラムやバスを利用して 通学しています.キャンパス内はとてもきれいな芝生がしかれており,昼休み には学生が芝生の上で昼食をとっている光景が見られました.外で昼食をとる 人が多いためか,食堂の数よりもサンドイッチを売っている売店の数の方が多 く存在します.フランスはイタリアに近いためか,イタリアのホットサンドイッ チ”パニーニ”をあつかっている売店も多かったです.

キャンパス

./images/suda-05.jpg パニーニ

** 研修内容

GUのGIPSA-Lab(ギプサ研究室)という研究室でお世話になり,研究をさせてい ただきました.GIPSA-LabのDr.Annemie Van Hirtum氏のご指導の元,研究を行 いました.Dr.Hirtumは子音の発生メカニズムを解析する研究を行っており,そ の研究に関連して,スモークビジュアライゼイションを用いた空気の速度につ いての研究を行いました.虫歯や矯正などの歯科治療の後,ごくまれに発音し づらくなることがあります.これは,/s/音など,歯に空気を当てることによっ て発声する音が,歯の形が変わることによって発音しづらくなるためです.こ れを歯科医師の経験だけではなく,物理的な理論からも解決しようという目的 で子音の発声メカニズムの研究が行われています.スモークビジュアライゼイ ションでは,煙を使うことによって,歯に衝突した後の空気の流れを可視化 し,発声のメカニズムを解析しようというアプローチです.その研究の速度に 関する部分について研究させていただきました.具体的には,可視化された2 つの異なる画像の相関性から,空気の波がどれくらい流れたかを計算し,空気 の速度を導出しました.そのために,相関性を数値で表すため”cross correlation”について勉強し,プログラムの実装を行いました.

フランス人の母国語はフランス語なのですが,研究室内での会話はできるだけ 英語を使っていただきました.お互いに母国語が英語ではないので,同じ発音 の単語でも異なる発音をしている単語が多々あり,コミュニケーションをとる のが難しい場面も多々ありました.例えば,”algorithm”という単語ですが, フランス人英語の発音だと,hの発音が抜け.”アルゴリタム”という発音にな ります.同様に,日本人英語もフランス人には聞き取りにくい部分が多々あっ たと思います.しかし,言葉で伝わらないときは紙に書いて伝えるなどの工夫 をしてコミュニケーションをとりました.

研究するにあたって1つ驚いたことがありました.それは,キーボードです.フ ランスのキーボードと日本のキーボードとでは,アルファベットの位置が違う のです.例えば,Aの位置とQの位置が逆になっていたりしました.そのため, 最初の頃はミスタイプすることが多く,慣れるまで時間がかかりました.イン ターンシップが終わる頃には,ずいぶんと使い慣れたのですが,逆に日本に戻っ たときに日本のキーボードが使いにくかったです.(笑)

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実験装置

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フランスキーボード

グルノーブルの生活

宿泊場所は,4名1室のユースホテルを利用しました.部屋の中はベッド,荷物 を入れるための棚,トイレ,洗面所,シャワーがあるだけで,それ以外のスペー スがなく,部屋の中ではベッドの上のみが活動場所,という感じでした.しか し,ホテルの1階に共用のスペースがあり,10人ほどがくつろげるスペースがあ り,ホテルではそこで過ごすことが多かったです.また,4名1室のユースホテ ルのため,私のように1ヶ月も泊まる人は全くおらず,ルームメイトが日替わり という状態でした.ルームメイトになったひとは,若い世代から年配の方まで 様々だったのですが,積極的に話しかけてくる人が多く,会話がなくて寂しい ということはありませんでした.「中国人?」とか「サッカー好きか?本田は いい選手だな!」とか色々な事を聞かれました.

通学には主にバスを利用し,朝10時に研究室に来て,夕方の7時頃に帰るという 生活をしていました.朝食はホテルで食べ,昼食はキャンパス内で食べ,夜は ホテルの近くのカフェテリアで食べることが多かったです.フランスは日本と 比べ,早めにお店が閉まる傾向があるのですが,バスも最終が午後8頃で終わっ てしまいます.そのため夜遅くまで残って研究するということはありませんで した.また,バスがストライキを起こして運行停止になるということがたまに ありました.そういうときは,研究室の先生に「今日はストライキでバスがな いからホテルまで送っていくよ」とおっしゃっていただき,車でホテルまで送っ てもらいました.

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ホテルの部屋

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バス

日本でも,茨城が納豆で有名だったりするように,フランスにもワインが有名 な地域や魚介料理が有名な地域があります.グルノーブル周辺の地域はチーズ が有名な地域でした.漫画でよく見るような穴の空いたチーズや青カビの入っ たブルーチーズなど,様々なチーズがありました.チーズを使った料理の一 つ,チーズフォンデュも食べました.チーズをからめて食べたパンや野菜はと てもおいしかったです.また,フランスといえばスイーツです.スイーツを扱っ ているお店やカフェが多くあり,スイーツの種類もたくさんありました.フラ ンス人はカフェでのんびりと過ごすことが多いので,その時間をより楽しむた めにスイーツが発展したのだなと感じました.中でも印象に残ったのはマカロ ンです.マカロンはフランスに来る前から,絶対に食べようと思っていたスイー ツでした.マカロンはマカロナージュ(生地を混ぜる作業)の回数を少し間違え てしまうだけでヒビがはいってしまったりと,作るのが非常に難しいスイーツ です.そのためか,日本でマカロンを見かけることはあまりないのですが,フ ランスでは,小さめの規模のパン屋さんでもマカロンを扱っており,様々な場 所でマカロンを見かけました.これにはとても感動しました.

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チーズフォンデュ

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マカロン

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ブルーチーズ

おわりに

元々の英語の語学力も非常に低く,紙に書いてのコミュニケーションが多くなっ てしまい,GUの方々にはとても迷惑をかけてしまったと思います.しかし,日 本とは全く異なる文化を持った国で暮らすということは非常に良い経験になり ました.この海外インターンシップという体験を通して,ずいぶんと精神的に たくましくなれたと思います.

最後に,このような貴重な機会をくださった大阪大学情報科学研究科の皆様, グルノーブルでお世話になった先生・学生の皆様,ご紹介していただいた先 生,インターンの準備の手伝いをしてくださった先生方に心よりお礼申し上げ ます.