HITLabNZ 研修体験記 (藤田 和之)

はじめに

大阪大学の海外インターンシッププログラムで,2011 年 9 月 16 日から 2011年 12 月 9 日までの約 3 ヶ月間,ニュージーランドのクライストチャー チにあるカンタベリー大学 (University of Canterbury)のHIT Lab NZ (The Human Interface Technology Laboratory New Zealand)において研修を受ける 機会を頂きました.ここでは,その体験についてご報告いたします.

クライストチャーチ

クライストチャーチはニュージーランドの南島に位置し,人口は国内2番目に多 い約40万人を抱えています.その名の通り,大聖堂(カテドラル)がランドマー クとなっている美しい都市でしたが,2010年9月,2011年2月にクライストチャー チ付近を襲ったカンタベリー地震の影響で,大聖堂は崩れてしまい,その場所 には立ち入ることができないように封鎖されています.街の中心部は大きな被 害を受けており,地震から1年以上たった当時も未だに復興があまり進んでいな い状況でした.それでも,郊外ではほとんどの家屋が修復され,人々の生活は 元に戻りつつある印象を受けました.また,少し都市部を離れると,ニュージー ランドのシンボルともいえる羊が群れている平原を至るところに見ることがで きました.

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クライストチャーチの街並み

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地震の被害を受けた地域

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郊外での羊の群れ

カンタベリー大学 (University of Canterbury)

カンタベリー大学は,1873 年に創立された国立大学です.キャンパスは地震の 被害をやはり受けており,一部の建物は私の滞在中も修理がなされていました が,大学の機能としてはほとんど復旧しているようでした.また,キャンパス は自然に囲まれていて,キャンパス内を小川が流れていたり,大きなグランド がすぐ近くにあったりしました.また,私が滞在した研究室であるHIT Lab NZ は,主にヒューマンコンピュータインタラクションや拡張現実 (AR) の研究を している研究室です.学生の半分前後が海外からのインターンシップの学生 で,ほぼ毎週新しい学生が配属されるという,とても国際色豊かな研究室でし た.居室は一部屋あたり5人程度で,1人分のスペースが広々と割り当てられて いました.また,キッチンには一通りの調味料やコーヒーサーバー,ティーパッ ク等が完備されており,優雅な研究室生活を送ることができました.

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キャンパス内の小道

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キャンパスの隣にあるグラウンド

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研究室のある建物

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研究室の充実したキッチン

研修内容

私がインターンシップ中に取り組んだ研究テーマは,複数人が自然な身体動作 で協調作業できるようなシステムの構築です.もともとの私の研究テーマも類 似のものでしたが,研究のアプローチや用いるセンサ,プログラミングライブ ラリなどは異なっていたため,新しく勉強する必要がありました.また,複数 人で同時に1つのプログラムを扱うために,バージョン管理システムを用いまし た.最終的には,1台のKinect(デプスセンサ・カメラ)を用い,ユーザ数,両 手の位置や方向,ユーザがディスプレイを見ているかどうかなどをリアルタイ ムに認識してそれを一定周期で別PCへ送信するプログラムを作成し,これを担 当の学生に引き継いできました.研究で行き詰まったときには先輩や先生に相 談することができたので,効率よく研究を進められました.また,滞在当時 ニュージーランドで開催されていたラグビーワールドカップに関するプロジェ クトにも参加しました.3人のメンバーで,数体のロボットに人の動きをリアル タイムに真似させるプログラムを作り,ニュージーランド代表のメンバーが試 合前に踊るハカ(マオリ族の伝統的なダンス)を踊らせる映像を作りました.1台 のロボットが煙を噴くなどのトラブルがありましたが,無事完成させられまし た.

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研究室の居室

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踊らせたロボット

クライストチャーチでの生活

私が滞在した頃は冬の終わりから春にかけてという季節でした.気温は日本と あまり変わりませんでしたが,紫外線がとても強く,サングラスまたは帽子が 必須でした.また,太陽が出ていない日はとても寒く,晴れの日に比べて10度 以上低くなることもありました.滞在先は,カンタベリー大学からバスで15分 程度離れた家で,ホームステイでした.家には,ニュージーランド人の若い夫 婦と,中国人のホームステイの学生が暮らしていました.基本的に毎日,昼ご 飯は家からサンドイッチなどを持参し,晩ご飯はホームステイのホストファミ リーが作ってくれました.ホストが作ってくれるご飯はハンバーグ,ソーセー ジ,パスタなど,シンプルなものが多く,美味しかったのですが,お米が恋し くなりました.週末には私がカレーライスやお好み焼きなどの日本の料理を作 ることがあり,とても喜ばれました.また,親戚や友達を集めたホームパーティ をすることが何度かあり,色んな話をしたりクリケットという球技で盛り上がっ たりしました.

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ホームステイの滞在先

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屋外で開かれたパーティ

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ホストファミリーと親戚の皆さん

文化

滞在当時も頻繁に地震が起きていたため,いろんな人と話すなかで地震のこと が話題に上ることが多く,地震が文化として根付いている印象を受けました. 日本では,地震が起きたときは机の下に隠れるべきと言われていますが,ニュー ジーランドでは建物があまり強く造られていないため,全力で建物の外に走っ て逃げろと言われました.また前述のとおり,私の滞在中にラグビーワールド カップが開催されていました.ラグビーはニュージーランドでは人気が高いス ポーツで,非常に注目されていました.私も決勝戦にはHugry Parkという大き な広場でのパブリックビューイングに参加しました.チームは見事優勝し,そ の場はかなりの盛り上がりを見せていました.

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ラグビーのパブリックビューイング

おわりに

この海外インターンシップは,全体を通して私にとって充実したものであり, 非常に貴重な体験になりました.単純に英語の上達や研究に関する知識の習得 があっただけでなく,異文化に触れることができ,また異文化コミュニケーショ ンの楽しさを知ることができました.これらは実際に行ってみないと得られな い経験ではないかと思います.

最後に,このような機会をいただいた諸先生方や,手厚い支援をしてくださっ た大阪大学とJASSO,また渡航先でお世話になった全ての方々に,心よりお礼申 し上げます.