VU 研修体験記 (原田 諒)

はじめに

大阪大学の海外インターンシッププログラムで、2011 年 8 月 18 日から 2011 年 11 月 21 日までの約 3 ヶ月間、アメリカ合衆国テネシー州のナッシュ ビルににある Vanderbilt University (ヴァンダービルト大学)において研修を 受ける機会を頂きました。ここでは、その体験についてご報告いたします。

ナッシュビル

テネシー州はアメリカ合衆国の南部に位置する州の1つです。ナッシュビルは その州都であり、テネシー州会議事堂やNFLテネシー・タイタンズの本拠地 LPフィールド、パルテノン神殿の等身大レプリカなど、観光には困らない場所 です。さらに、ナッシュビルはカントリーミュージックの聖地として有名な場 所であり、ダウンタウンにはスタジオや楽器屋など音楽に関係する建物が数多 く存在し、路上でギターなどを演奏している人の姿を見ることも少なくありま せん。また、土曜日には多くの人がミュージックバーに訪れ、夜遅くまでビー ル片手にライブミュージックを楽しむ非常に陽気な街だという印象を受けまし た。

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テネシー州会議事堂

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パルテノン神殿の等身大レプリカ

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ミュージックバーの様子

VU (Vanderbilt University)

VU (ヴァンダービルト大学) は 1873 年に創立された歴史ある私立大学であり、 レンガ造りの建造物が多く、外観の美しい大学だと感じました。学部としては、 特に医学部や経済学部で多くの優秀な人材を輩出している一方で、工学部も大 きな領域を占め、豊富な資金を元に最先端の研究が行うための設備を拡充させ ているようで、アメリカ合衆国の中でも教育的、経営的に優れた大学として知 られています。また、私立大学であるため学費などは割高であり、地理的な関 係もあってまだまだアメリカ人が多い大学のようです。アメリカの多くの大学 と同じようにカレッジフットボールが盛んであり、大学内にある4万人近く収容 できるフットボールスタジアムでも試合が行われています。学生の日常的な会 話にも試合速報が出てくることからも、非常に注目度の高いスポーツであるこ とが伺えます。

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VU のキャンパス内部

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学内に多く生息するリス

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カレッジフットボールのスタジアム

研修内容

私は工学部 (School of Engineering) の Department of Electrical Engineering and Computer Scienceの1つである Radiation Effect and Reliability Group に在籍しました。この研究グループにはおそくら50人以上 の学生がおり、学部生と大学院生で棟自体が分かれており、院生用のオフィス も複数あるため、全容が計り知れないほど巨大な研究グループでした。それで も私が滞在していたオフィスの中だけでも、アメリカ人の他にインド人、中国 人、韓国人などがおり、非常に国際色豊かな研究室だと感じました。また、私 の3か月の滞在期間でもオフィス内で数名が入れ替わるほど、インターンシップ が積極的に行われているようです。

この研究室で、私は主に Prof. Lloyd W. Massengill とProf. Daniel Loveless のご指導のもと、最先端の半導体デバイスでのソフトエラー耐性評価 のための放射線照射実験に用いるプリント基板 (Printed Circuit Board) の設 計を行いました。ソフトエラーとは、放射線粒子が半導体デバイスに突入する ことで回路に一時故障を生じる現象であり、この実験は、最先端デバイスに放 射線粒子を照射することで、ソフトエラーの測定やソフトエラー耐性を持った 回路の耐性評価をするためのものです。中性子線などのビームは、照射範囲や 粒子の移動距離が大きいため、影響を受けさせたくないテスターやPCをデバイ スから離す必要があります。PCBは、そのテスト環境構築に必要な一部品となる ものです。

私はデジタル回路の設計は現在の研究で経験していましたが、PCBのように抵抗 や容量が主体のアナログ回路の設計は初めてでした。また、設計に用いた回路 シミュレータやPCBレイアウトツールはもちろん英語で紹介してもらったため、 英語力に乏しく質問も遠慮しがちな私には、その導入から苦労することになり ました。進まない研究状況に覚悟を決めた私は、まずメールでとにかく質問を することから始め、ミーティングの後などにもどうにかやり取りをしながら、 最終的には設計を終わらせることができました。残念ながらインターン期間の 終了によって、私がその後の放射線照射実験に携わることはできませんでした が、PCB設計という新しい経験と英語でのコミュニケーションスキルの向上とい う2つの面で、非常に充実した研究生活を送ることができました。

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Circuit Meeting の様子

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プリント基板の一例

ナッシュビルでの生活

残念ながら寮は空いていなかったため、現地に飛んでからアパートを探す予定 でした。結局電話も駆使したものの短期で契約してくれるアパートは見つかり ませんでしたが、運良くホームステイのような形で部屋を貸してくれているア メリカ人老夫婦の家に住むことができました。その方々や同じく住んでいたサ ウジアラビア人とは密に交流することができ、映画やライブなどに一緒に行く こともありました。また、同じオフィスに同じくインターンシップで来ていた エジプト人とはすぐに打ち解け、VU 主催で行われていたアウトドアのイベント などに一緒に参加しました。カヌーによるテネシー川の清掃やトレイルビルディ ングなどのボランティア、ロッククライミングやカヤッキングなど初めて体験 するスポーツにも挑戦でき、非常に有意義な生活を送ることができました。

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滞在した家

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サウジアラビアの料理 - カプサ

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テネシー川のほとりでロッククライミング

おわりに

この海外インターンシップを通じて、非常に多くの経験を積むことができまし た。これまでの自分の研究やその姿勢によって活かせたこと、足りなかったこ とも実感することができました。また研究的な面はもちろんですが、多くの国、 価値観を持った人々との会話やミーティングを通して、いかに英語によるコミュ ニケーション能力が重要であるかを実感しました。今後、国際学会や、そのさ らに先で活躍するためにも、このインターンシップを通じて得た経験を余すと ころなく活かしていこうと思っています。

最後に、このような貴重な機会をくださった大阪大学情報科学研究科、VUと、 渡航先でお世話になったすべての方々に、心より感謝申し上げます。