NTU 研修体験記 (石川 卓)

NTUについて

NTU に来てまず驚いたのは、広大なキャンパスとその学生の多様性です。NTUに は、学内に 9200 人が生活できる 16 の学生寮、11 の学生食堂、5 つの図書館、 たくさんの自習スペース、スポーツ施設、といった充実した環境がありました。 NTU で学ぶ学生として、シンガポールの学生は当然のことながら、多くの国か らの留学生が共に学んでいます。留学生の割合は 20 %という高い比率です。違 う国籍、文化を持った学生たちと出会う機会があり、国際的な視野を持つため には、非常に有意義な場であると感じました。

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所属研究室と研修内容

私は、School of Computer Engineering の Centre for Multimedia and Network Technology(CeMNet) いう研究室に所属しました。シンガポールでは、 学部を卒業するとほとんどが就職するようで、CeMNet の学生の過半数以上は他 国からの留学生で、Ph.D. コースの学生ばかりでした。さらに、研究室にはポ スドクでもなく、Ph.D. の学生でもない研究員という肩書きの方も多かったよ うに思います。

CeMNet では、Yeo Chai Kiat 先生、プロジェクトオフィサーの Xia Yang 氏お よび修士課程の学生である Zoebir Bong 氏の指導のもと、DTN(Delay Tolerant Networks) に関する研究を行いました。

DTN とは、惑星間通信やセンサーネットワーク、またはモバイルアドホックネッ トワークなどの通信において、ノードの密度が非常に疎、もしくはノードの移 動や非力な資源により、通信の遮断が頻繁に起こるといった特徴を持つネット ワークのことを指します。DTN は宇宙空間・辺境地域・戦闘地域・災害現場と いった、通信の切断や中断などが頻繁に起こるような環境や通信のためのイン フラが整備されていない場所で、通信を行うための方法として注目されていま す。DTN の基本的な考えは、TCP/IP とは異なり、通信相手までの経路は常に存 在するとは限らず、経路が断たれることがしばしばある環境が想定されていま す。そこで、中継を行うルータは、メッセージを受信するといったん蓄積し、 物理的に移動して次のルータと通信できるようになればメッセージを渡してい くことで最終の通信相手にメッセージを届けます。

今回の研修では、DTN 上でのアプリケーションとして、E メールアプリケーショ ンを実装するための SMTP のプロキシを作成しました。通常 E メールを送信す る際には、SMTP という仕組みを使って、送信が行われます。しかし、この方法 は通信のエンド・エンド間のコネクションを仮定しているため、DTN 上ににそ のまま実現することはできません。そこで、これを可能にするための SMTP の プロキシを作成しました。本研修では、DTN2 という DTN のテストベッド上に 実装することを考えており、研修開始後に DTN2 の使い方や、SMTP の RFC を 読み仕様を勉強した後、プロキシの作成を始めました。その作成過程で先生方 とは毎週、指導担当の Zoebir 氏とは数日起きにディスカッションを行いなが ら作業を進めました。最終日には、先生方の前でデモンストレーションを行い、 DTN2 上で実際にメールが送信される様子を確認しました。また、帰国後に本イ ンターンシップ中の成果をまとめ、国際会議に提出することを考えており、先 生方とのやりとりを継続しています。

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おわりに

研修自体も大変有意義なものでしたが、一番印象深いことは、他の留学生らと 将来について語り合ったことです。私たちはどんな人物になるべきか、私たち に求められていることは何か、国際化社会に私たちはどうあるべきか、夜通し 話ました。日本を離れてみて初めて実感できることがたくさんありました。無 意識に常識だと思っていること、自分の強み、世界からみた日本の印象など、 海外での生活は、本当に驚きと発見の連続でした。

最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださった大阪大学 の皆様ならびにNTUの皆様に心からお礼を申し上げます。本当にありがとうござ いました。

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