University of Canterbury 滞在体験記 (馬勝 淳史)

はじめに

2011年9月25日から2011年12月22日までの約3ヶ月間ニュージーランドのクライ ストチャーチに滞在し, University of Canterburyに属している HITLabNZ(Human Interface Technology Laboratory New ZeaLand)にインターン シップ生として在籍し, AR 業界では有名であるMark Billinghurst教授の下で 研修をしました..ここでは,その研究内容と海外での生活や体験について報 告致します.

<クライストチャーチ>

クライストチャーチ(Christchurch)は,ニュージーランド南島中部,カンタ ベリー平野東海岸側に位置し,ニュージーランド内で2番目,南島では最大の人 口を有する都市です.南半球に位置しているために日本とは季節が真逆であ り,私が滞在した季節はちょうど初春から初夏といった季節でした.また1年を 通して温暖な気候区にあり,夏季の気温は25℃前後と日本の夏と比べ非常に暮 らしやすい気候となっています.しかし1日に四季があるともいわれ,春の季節 に最高23℃,最低7℃という日もありました.クライストチャーチは別名「ガー デンシティ」と言われるほど,緑や花であふれています(写真左).また海も 近く,車で15分ほど東に向かうとビーチにいくこともできます(写真中央). 自然が多いその一方で,中心部は意外と栄えているのですが今年の2月にあった 大地震の影響でメインシンボルである大聖堂は倒壊,中心部は立ち入り禁止と なっていました(写真右).

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(写真:クライストチャーチ)

<University of Canterbury>

University of Canterbury(カンタベリー大学)はクライストチャーチの市内に ある国立の総合大学です。広大なキャンパスの中には通常の大学学部課程であ るコース以外にも英語コースが併設されています.そのため留学生の受け入れ にも大変積極的のようで,世界各地からの多数の留学生が所属しています.大 学の授業の区切りとしては,日本の大学と違い1年に5〜6つのセメスタがありま す.当初,何か運動系のクラブに入るつもりでいたのですが,私が訪問した時 期はちょうど年度末〜春休みにあたり,ほとんどのクラブが活動していなかっ たことが心残りでした.

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(写真:University of Canterbury)

<研修内容>

HITLabNZ(Human Interface Technology Laboratory New ZewLand)と呼ばれる大 学に付属している研究所の在籍しました. HITLabAUやHITLabUKなどニュージー ランド以外にも研究所を持っています.拡張現実感(Augmented Reality, AR) やコンピュータグラフィックス,モバイルコンピューティングに関する技術を 研究分野とする研究者が在籍しています.私は日本ではARの研究に取り組んで いました.実環境の物体の三次元形状を復元し,復元されたバーチャル物体を 現実空間に重畳表示することでAR環境を構築する技術を研究していました.こ れまでの私の研究内容では現実空間にバーチャル物体を重畳表示するだけで, そこからの拡張性が非常に薄いという問題がありました.そこで,こちらでは バーチャル物体へのインタラクション部分の研究内容に取り組む方針で同分野 の研究者多いHITLabNZを訪問することを決めました.

配属後,開発のためのデスクトップPC,自然なハンドインタラクションを可能 とするためにKinectを支給されました.研究内容としては複数のプロジェクト に携っていきました.上記で述べたようなインタラクションに関するプロジェ クト(写真左2番目),マルチユーザの大画面へのインタラクションを可能とす るプロジェクト(写真右2番目),国技であるラグビーWC2011の応援プロジェク トとして,人の動きをKinectでトラッキングしてロボットに伝統的な舞踊(ハ カ)を踊らせるプロジェクト(写真最右)といった内容です.特に同研究室の Ph.DのThammathipさん,同じインターン生の藤田さんには助力を頂きました.

研究室には10数人ものインターンシップ生がおり,国も様々であったためにい ろんな文化に触れることもでき,在籍している人は気さくな人が多く,非常に 楽しめました.研究室のイベントとしてパーティなども月1ほどで催されまし た.初めは言語の壁が非常に高かったのですが,完璧とはいたらないまでも少 しずつ慣れていくことができました.この国は人種が多彩なためアジア英語, キウィ(NZ)英語,オージー英語,アメリカ英語などなど多彩な英語を耳にしま す.聞き取りやすい英語,聞き取りにくい英語の差が非常にあって最後の最後 まで苦戦しました.一番驚いたことは,生活リズムのよさです.基本的に朝9時 から10時には大抵の人は研究室にいます.そして18時になるともう人はほぼい なくなります.日本では人々の生活リズムがバラバラであったり,夜に残って 研究している人も多数いるのに対し,そのあたりの切り替えがはっきりしてい る様子には感心しました.別の研究室の気風を体験できたのは今後の研究生活 を進める上で良いものとなったと思います.

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(写真:HITLab NZ)

生活

滞在中は、大学の周辺のご家庭にホームステイさせていただきました. 学校ま で徒歩20分という距離にありましたが運動ということで普段は徒歩で通学し, 雨の日などはバス通学をしていました.ホストファミリーはきさくな人たちで 夜はリビングでテレビを見たり,のんびり過ごすことができました.特にクラ イストチャーチと日本の共通点として今年大地震に見舞われたということでそ の話題がよくでてきました.休日には,ホストファミリーと一緒にHagley parkというクライストチャーチで最も有名な公園に出かけたり,研究室の人と 出かけたりしました.中心部はくずれていますが,周辺都市にも様々な観光名 所があります.映画「ロードオブザリング」の舞台となったエドラスの丘,ア クティビティが盛んなクイーンズタウン(写真左)などに出かけました.いず れも距離があり,ツアーなどをくむと高額になるのですがせっかくということ でお金を惜しまず名所は回りました.天候が不安でしたが,2日目のミルフォー ドサウンド(Milford sound) (写真中央:Mirror Lake,写真右:Milford sound)は日光が痛いほどの晴天で,すばらしい景色を見ることができました. ツアー添乗員さんの話によればこれほど晴れるのも珍しい(1年で230日ほどが 曇り)らしかったので,よい旅を満喫することができました.

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(写真:ホームステイ先にて.孫娘と)

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(写真:QueenstownとMilford sound)

おわりに

正直渡航前は不安でいっぱいでした.あまり海外の経験もなかったために会話 ができるのか,食生活は大丈夫なのか,治安はよいのかといった不安を持って いました.しかし,いざ体験すると会話や食生活はなんとかなり治安もよい方 なのか問題ない生活を送ることができました.だからといって英語が格段に上 達するわけではありませんでした.英語をメインでやってるわけではないので 当然ですが,研究中は基本PCと向き合っての作業になるので英語を使う場面は 少なく感じました.これは語学研修と決定的に違うところと考えています.英 語をしゃべる度胸と英語耳の上達はしましたが,表現力のなさにふがいなさを 覚えた時期もあり,もっと日本にいるときも英語に触れてグローバルなコミュ ニケーションスキルを高める必要がありそうです.

研究生活では,日本で送っていたスタイルと違う研究姿勢で挑むことができ, よい刺激を得ることができました.英語によるコミュニケーション,複数人に よるプロジェクトなど経験したことない分野にも足を踏み入れることもしまし た.今回の滞在で自分の視野が大きく広がったことを実感しました.

最後になりましたが,今回の海外インターンシップはいろいろな方々の助力が あってこそやり遂げることができました.このような貴重な体験をさせていた だいたことに感謝でいっぱいです.特に貴重な機会の提供と資金面で支援して いただいた大阪大学,竹村研究室の方々,生活面で支えていただいたホストファ ミリーの面々,そして研究生活を支えてくださったHITLabNZの学生,スタッ フ,先生方に心より感謝申し上げます.

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(写真:Thammathipさんと.Open LaboratoryのDemoにて)