Duke Imaging and Spectroscopy Program 研修体験記 (中村 友哉)

デューク大学(Duke University)

デューク大学はアメリカ南東部ノースカロライナ州に位置する、全米屈指の名門大学です。森に囲まれたキャンパスはとても広大でしたが、毎日学生、研究者でにぎわっていました。キャンパスを行き交う人々の人種・国籍が非常にバラエティに富んでいること、(これはアメリカ全体に共通のことと思いますが)人々がとても社交的でフレンドリーなことが特に印象的でした。

研究内容

(右)http://mosaic.disp.duke.edu/next/evolution/ より引用

訪問先であるDuke Imaging and Spectroscopy Program(略称DISP)では、David J. Brady教授の下で情報光学に関する様々な研究が行われています。その中で私は、DARPA(国防高等研究計画局)の援助の下に行われている、マルチスケールギガピクセルカメラ[Brady: Nature, Vol. 486, 386 (2012)他] (以下、AWARE)の開発に関する研究プロジェクトに参加しました。AWAREは、ボールレンズと高倍率マイクロカメラアレイにより、広い視野を高解像度で記録するカメラシステムです。カメラアレイにより取得される画像群は後処理によりギガ単位の画素数を持つ一枚の画像に統合されます。写真右は構成中のAWARE-2システムです。多数の穴の開いた金属ドームの中心部にボールレンズが内包されています。写真中でドームの穴に差し込まれているのがマイクロカメラです。高倍率のズーム機構を含むため、スティック状に構成されています。

上の写真は実験により実際に生成したギガピクセル画像です。巨視的に見ると一枚のパノラマ画像ですが、ギガ単位の画素数で構成されており、細部まで拡大することができます。シーンの詳細な情報を一度の撮影で取得することが出来るため、環境計測・監視・防衛など様々な応用が期待できます。しかし、光学系により規定される限界の解像度を実現するためには、対象にフォーカスが合っている必要があります。かつ、シーンが動的に変化する場合は、オートフォーカスは高速に実行される必要があります。そのため、オートフォーカスの精度と速度の向上は、AWAREにとって重要な課題の一つと言えます。
そこで本研修では、AWAREのオートフォーカス機構の精度と速度の向上について研究・開発を行いました。最終的には、二つのタイプの高速オートフォーカスアルゴリズム(通常型、動画像取得を前提とした追従型)を開発し、キャプチャソフトウェアへの組み込みやリアルタイムデモシステムの構築を行いました。また、私自身の元々の研究テーマの一つである被写界深度拡張技術もシステムに適用可能であったため、そちらの適用も行いました。

文化

アメリカに暮らす人々は皆とても外交的かつフレンドリーで、短い滞在にも関わらず多くの知己を得ることができました。そして、彼らとの交流を通じて、彼らのポジティブな価値観や、”Enjoy”を重要視する姿勢などに大きな影響を受けました。研究や仕事はEnjoyしながら行うべきもの、ということは私の出会ったアメリカの人々の共通認識であったように思われます。このような新しい価値観の学びを、今後の研究生活や人生に活かしていきたいと感じました。

おわりに

最後に、様々な局面で本研修をサポートして下さった本講座の先生方や、手厚い支援をしてくださったヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラムの関係者の皆様、また渡航先でお世話になった全ての方々に、心より御礼申し上げます。