UCI 研修体験記 (佐藤 勝紀)

はじめに

2012年9月27日から2012年12月21日までの約3ヶ月間、アメリカのカリフォルニア州にあるUniversity of California, Irvine(UCI)において、研究を行いました。ここでは、研究内容と現地の生活について報告します。

アーバイン(Irvine)

アーバインはアメリカの西海岸のカリフォルニア州の南に位置しており、ロサンゼルスとサンディエゴの間にあります。全米で一番安全な街とも言われてていることもあり、安全面を見れば日本とさほど変わらないように思えました。気候は、非常に温暖で、12月でも昼間は十分に暖かいです。また降水量は少なく、雨期であってもほとんど雨が降らず、非常に過ごしやすい気候です。街並みは、数十年前は農地であったところを開拓した地域であるため、道路や住宅地が区分され整備されています。道路はほとんどが片側3,4車線で自転車専用のレーンが車1台分あるぐらい広かったです。アメリカは車社会であるということもあるのですが、交通の便は非常に悪く、アーバイン内を走っている電車はなく、バスは20-70分に1本しかありません。生活するには自動車がないと大変だと思います。

家の近くにある公園。かなり広いです。

UCI

学生の6割近くがアジア人で、そのほとんどが中国人でした。日本人はほとんどいなかったと思います。そのため、学校を歩いているとすれ違う人はほとんどアジア系の人たちで、ここはアメリカの大学のなのかなと思えるぐらいでした。学校の真ん中には広大な自然が広がっており、初めてキャンパス内を歩いたときはとても驚かされたことを覚えています。また、その周りに講義棟があるキャンパスの形態であり、歩いて1周するにはかなりの時間を要してしまうぐらいキャンパスは非常に広かったです。そのためキャンパス内を移動するための無料バスが定期的に走っていました。

Anteater(UCIのマスコット)

大学の野球場

研究室・研修内容

私は、Electrical Engineering and Computer Science専攻のProf. KJ Linの指導のもと、WuKongプロジェクトに参加しました。このプロジェクトはPhDの生徒6名で、台湾の大学との共同研究となっております。このチームにおける研究の進め方は、一人一人が個別のテーマを設定して、基本的に一人で研究を進め、週に1回あるミーティングで進捗の報告とその報告内容に対して全員でディスカッションするという形でした。そこで、私はプロジェクトリーダーの学生と共に研究を進めました。  WuKongプロジェクトとは、M2M(machine to machine)システムにおいて、利用するセンサーに関わらず、使用可能となるプラットファームとミドルウェアを構築するプロジェクトです。最終的な目標は、開発者やユーザは対象とする環境において、どこにどのようなセンサーを設置されているかを意識する必要はなく、システムがセンサーの認識やアプリケーションの構築などをあらゆる操作を自動的に行うことを可能とすることです。
 既存するM2Mシステムでは、特別なネットワークプロトコルのもと、専用に作られたセンサーしか扱えなく、さらに他のプラットフォームでは使えないなど、拡張に欠け、コストもかかってしまう。
 そこで、本プロジェクトでは、センサーやネットワークの状況に適応できるよう拡張性を持たせるため、Flow Based Programming(FBP)という技術を使用する。M2Mアプリケーションは要素(センサーやon/offスイッチなど)間のデータの流れによって定義されていること、FBPによって開発者はデータの流れを定義することに集中できることから本プロジェクトにおいてFBPの使用は適していると考える。またFBPはデータフロー指向という特徴をもち、ユーザは抽象化された要素を組み合わせ、データフローを指定することで対象とする環境を構築することができる。さらにFBPにおいてグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を用いる。GUIを使用することで、ユーザは対象とする環境を視覚的に理解しながらセンサーの配置、センサー間のデータの流れを定義できるため、ユーザは対象とする環境を容易に構築できるようになる。センサーを操作する上で、全てのセンサーはそのセンサーの種類とどこに存在するかという位置情報を必要とする。しかし、少数のセンサーだけを使用するならこれらの情報は容易に利用することが可能だが、本プロジェクトでは大量のセンサーを使用することを想定しているため、これらの情報をそのまま使用するのは困難である。またこれらの位置情報を用いることで、位置情報からセンサーを認識したり、各センサー間の距離を知ることなどに利用したいと考えている。
そこで、私は全てのセンサーの位置情報を体系的に扱い、ユーザが利用しやすい形であるツリービュー状で提示することで、前述した操作を容易に行えるようにするためにGUIにおいて新たに「Location Tree」というページを作成した。このページでは、センサーの配置状況の表示とセンサーに対するすべての操作・情報を取り扱えるようにすることが最終的な目標となる。まず、全てのセンサーの配置状況をユーザが容易に理解できるようにするために、ネットワーク内に存在する全てのセンサーの位置情報を収集・整理を行い、階層的に表現しているツリービュー状で表示できるようにした。このツリービューに存在するセンサーを用いて、そのセンサーの位置情報や属性といった具体的な情報の入手または変更が行える。また、センサーが付随していない机など家具の情報を入力でき、その部屋の状況を表示・認識することができる。
 本プロジェクトは、最終的にはスマートホームなど利用されることを想定としているため、今後既存の機能の強化を行う。家などの環境では、季節や時刻によってセンサーの挙動が異なるため、その状況に自動的に適切な対応できるようにポリシーの定義を行う。その後、実際の環境で実験を行う予定です。

私の研究室があるEngineering Hall

1人1ブースずつ与えられます

生活

私は、学校から10km程離れたところのホームステイをさせていただきました。少し遠かったのですが、毎日自転車で通学したので、いい運動になったのかなと思います。また車道の一番端を自転車で走っていたのですが、車の制限速度が80km/hだったので、初めはかなり怖かったです。食事面で私は、夕食などで料理をたくさん出されるイメージがあったのですが、全くそういうことはなく、料理をたくさん作るのですが、自分で好きな分だけ食べるスタンスだったので、少食の私には助かりました。
 私が、滞在した時期にはHalloweenとThanksgivingがありました。Halloweenの日には奇抜なコスチュームを着た子供たちがたくさん来て、本場のHalloweenを味わうことができました。Thanksgivingはアメリカで1番重要な祝日であるらしく、ホストファミリーが仲の良くしている4つの家族と合同でホームパーティーを行いました。ターキーをはじめ、たくさんの豪華な料理を頂き、たくさんの人とお話しすることができ、素晴らしい体験をすることができました。またThanksgivingの日の深夜からBlack Fridayと言って、アウトレットなどでセールが始まるので、友達と行ったのですが、あまりの人の多さにお店が入場制限しているところもある程でした。商品はとても安かったのですが、人の多さ、深夜という時間帯もあり、もう行きたくないなと思ったのが正直なところです。
 このように様々なイベントを通してアメリカらしい文化を体験できたことは私にとって良い財産になったと思いますし、アメリカ人なりの家族の絆であったり人とのつながりを肌で感じられたのはホームステイしたから感じられたものだと思います。

教授の家でThanksGivingパーティをしました

最後にホストファミリーと。

終わりに

3か月間の海外インターンシップは非常に有意義なものとなりました。初めて海外で生活するということもあり、治安や言葉など、ちゃんと生活できるのか不安でいっぱいだったのですが、研究室のメンバーやホストファミリーなどであった全ての人が親切に接して下さったので、滞在中、不便なく生活できました。研修の面でも、もちろん大変なこともありましたが、日本では経験できないこと、感じられないであろうこともたくさんあり充実した日々が送れました。今回得られた経験や現地で感じたことなどを今後の人生にしっかり生かしていこうと思います。
最後に、このような貴重な経験を支援し、提供してくださった大阪大学、UCIの先生、学生をはじめに関係者の皆さんに心からお礼を申し上げます。