University of California, San Diego 研修体験記 (宇佐見 潤)

はじめに

私は、2012年12月21日から2013年2月7日まで、アメリカのUniversity of California, San Diegoにおいて、Jurgen先生の指導のもと、研究を行いました。ここでは,研究内容と大学の環境、アメリカでの生活について報告致します。


(研究していたデスク)


(Calit2)


(ミッションビーチ)

GLOCOL

私は,JASSOの助成金システムに応募しましたが,落ちてしまいました.落ちた時に,来年度にもう一度再チャレンジをしようかと考えていた時に,清川准教授からGLOCOLの助成金制度があることを教えていただきました.GLOCOLでの助成金をもらうまでのシステムは,面接を行い,そこで合格すれば助成金をもらえるという流れでした.その面接に無事合格し,私は,今回の海外インターンシップをすることを決定しました.サンディエゴに行ってからは,GLOCOLに対して週に一回の進捗報告を行っていました.


(キャンパス内)

ホームステイ

 私のサンディエゴの生活の前半は,ホームステイでした.サンディエゴに到着し,ホストマザーに空港で出迎えられ,ホストファミリーの家まで車で向かいました.ホームステイでの生活は,満足のいく生活ではありませんでした.週に2,3回はファーストフードのテイクアウトでした.他にも,外から部屋に鍵をすることができません.中からは鍵をすることができたのですが,それでも部屋に簡単に侵入できるような部屋で過ごしていました.ホームステイをする際は,事前に部屋の写真を見た方が絶対に良いです.

窃盗事件

ホームステイ先で日々の生活を送る中,たびたび所有物が無くなるということが起きました.最初は,チノパンに始まり,iPodの充電器と次々に物が無くなっていきました.これらのものは,外出して家に帰ってくると無くなっている,という明らかに窃盗の予感がしていました.最終的には,私のスーツケースが刃物で切り裂かれ,中から日本円が盗まれていました.帰宅後,切り裂かれているスーツケースを見た時は,絶望感とともに身の危険を感じました.


(破壊されたスーツケース)

窃盗を通じて

今回の海外インターンシップ中に窃盗被害を受けて,良かったと点と悪かった点について述べたいと思います.良かった点は,英語を使って,ホストファミリーと口論したことです.この時は,一番英語を使ったかもしれません.
 悪かった点としては,やはり物を失うということと,スーツケースが破壊されるということです.この破壊によって,私はサンディエゴから日本への荷物を持って帰る方法が無くなりました.チャックの部分を完全にやられていたので,ガムテープを現地で調達し,グルグル巻きにして何とか帰国することができました.
 このようにホームステイ先は,とても最悪な環境だったような気がします.サンディエゴはとても治安が良く,過ごしやすいと思います.


(破壊されたスーツケースを修理)


(修理完成図)

UCSD (University of California, San Diego)での研修

 私の研究室は,UCSD内のAtkinson Hallという建物で研究を行っていました.その中にあるIVLという研究室で研究していました.

研究方針の決定
今回の海外インターシップにおいて、どのような研究を行うのかということについてJurgen先生と話し合いを行いました.話し合いの結果、現在Jurgen先生がお持ちのプロジェクトに参加させていただくことになりました.そのプロジェクトは、OpenSceneGraphを用いてAndroid端末上でリアルタイムな大学内の3Dナビゲーションシステムの提案です.
 このプロジェクトを竹村研究室からUCSDにインターンをしている古都と2人で進めることになりました.

研究内容
 この3Dナビゲーションシステムは、ユーザがAndroid端末に付属しているカメラを向けている方向に映る現実世界を、Android上の画面に3Dモデルとして表現し、ナビゲーションを行うというシステムです.
 このシステムを実現するために,Android端末から得られるGPS情報と加速度センサー、磁気センサーを用います.これらの情報は,カメラの向きや位置を計測するために使います.

研究の進め方
 このプロジェクトは,Jurgen先生がマイルストーンを設定し,そのマイルストーンにたどり着くためのタスクを細かく分け,そのタスクをこなしていくという進め方でした.例えば,今回のプロジェクトの第一マイルストーンは,カメラの向いている方向の現実世界をAndroid上で3Dモデルを用いて表現するというものでした.このマイルストーンにたどり着くためには,まずモデルをAndroid上で表示するというタスクと,そのモデルをAndroid上でストレス無く滑らかに動かすというタスク,センサー情報を使って,カメラの位置を計測するタスク,といったようにタスクを細かく分け,これらのタスクを共同でこなしていく研究の進め方でした.このような進め方をしたおかげで,やるべきことがはっきりとし,容易に仕事を分担することが可能になりました.
 これらのJurgen先生から与えられたマイルストーンに到達するために,2人でタスクを分担し,プロジェクトを進めていきました.

担当
 まず,Android上でモデルを表示させるという作業を行いました.ここでは,OpenSceneGraphを使って,Android上にモデルを表示させます.OpenSceneGraphをAndroidで利用する際に,3Dオブジェクトを指定します.そこで,OpenSceneGraphで利用できる3Dオブジェクトの調査を行いました.プラグインを利用すれば,さまざまな拡張子を読み込むことができるというがわかりました.ObjファイルやWRLファイル等の3Dオブジェクトファイルもプラグインを追加すれば読み込みが可能となります.そして,これらの調査の結果と実装からOpenSceneGraphに3Dオブジェクトファイルを読み込ませて,Android上で表示させるということに成功しました.
 次に,このAndroid上で滑らかに3Dモデルを動かすという作業を行いました.Android上で動作させる必要があるため,3Dオブジェクトファイルの容量が大きい場合,読み込みに時間がかかり,動作がかなり遅くなります.そのため,容量を小さくするということは必須でした.OpenSceneGraphには,OpenSceneGraph用の3Dオブジェクトの拡張子変換ツール(osgconv)が標準であります.このosgconvを利用することで,ある3Dオブジェクトの拡張子を別の拡張子に変換することが可能になります.OpenSceneGraphのASCIIコードの3Dオブジェクトファイルの拡張osgや,バイナリコードの3Dオブジェクトファイルの拡張子iveにも変換することができます.ここで,iveとosgの読み込みスピードを比較すると,やはりバイナリコードであるiveが速かったです.容量が小さい3Dオブジェクトの場合,あまり読み込み時間に大差はありませんが,今回のプロジェクトで扱う3DオブジェクトはUCSDのキャンパスであるため,容量が大きいことから,iveを用いることにしました.
 最後に,ナビゲーションをする際に必要な矢印の作成です.ユーザが目的地までのたどり着くために,誘導が必要となります.そこで,誘導方法として,2Dの矢印と3Dの矢印を両方用意し,使いやすい方をユーザに利用してもらうという方法をとっています.2Dの矢印は,既に完成していたので,3Dの矢印を作成しました.この矢印を作成するために,OpenGL ESを用いて実装しました.3Dの矢印の作成の際に,ユーザが矢印の方向を直感的に判断できることが必要です.そのため,3Dの矢印を全て同じ色にしてしまうと,角度によっては見えにくくなってしまうことがあるため,一部の辺と面の色を分けて作成しました.
 このプロジェクトは,2人の共同作業で進められているため,随時統合を行いながら進めました.

ミーティング
 ミーティングは,毎週金曜日のAM10:00に行われます.ここでは,簡潔にその週に取り組んだ内容や来週の予定を報告します.このミーティングでは,研究室のメンバーが全員集まります.そこで,研究室のメンバー全体に対して報告を行います.ここでは,自分の作業内容を簡潔に英語で説明するという機会が得られました.
 ミーティングとは別に,何か困ったことや疑問に関しては,その場でJurgen先生のもとへ行き,話し合いを行い解決しました.例えば,研究成果をどこの学会に出すべきか,ということをJurgen先生に相談したところ,丁寧に教えていただきました.

研究成果
 今回の海外インターンシップを通じて取り組んだプロジェクトをどのような形でアウトプットするかということについて,Jurgen先生からショートペーパーかポスターとして学会に投稿してみてはどうかということを提案されました.そして,時期や要件を考慮して,どこの学会に出すのが良いかということについて話し合いました.その結果,いくつかの学会が候補として挙がり,それらの学会に投稿することが決まりました.学会に投稿することが決まったとき,残されたインターシップの日数を考えると,UCSDに滞在している間に完成させることは,困難でした.そのため,学会の締め切りを考慮すると,日本に帰国してからでも,作業する時間はあるため,帰国後に残りの作業をするということに決定しました.


(研究を行っていた建物)

おわりに

もしホームステイをするならば,気をつけてください.今回の海外インターンシップを終えて,そう感じました.貴重品は常に身に付けておくということは当たり前ですが,外出中にスーツケースを破壊して物を盗んでくるということも覚えておいてください.相手は容赦無く,物を奪ってきます.ホームステイ先では,常識は通用せず,そこのホストファミリーのルールが適用されるため,相手にとっては物を取り放題です.気をつけたほうがいいです.
 今回の海外インターンシップでは,失ったものも多数ございますが,得られた物も大変多く,大変貴重な経験ができました.
 最後に,強盗の脱出の際に多くのサポートをしていただいた伊達准教授,脱出の後にホームステイ斡旋業者への対応をしていただいた清川准教授,研究や強盗事件まで助けていただいたJurgen先生に深く感謝を致します.


(標識)