はじめに

2013年8月12日から2013年10月3日までの約2か月間,アメリカ合衆国カリフォルニア州のUniversity of California, San Diego(UCSD)のTray Ideker研究室において研究開発を行いました.開発内容と現地での生活について報告します.

サンディエゴ

サンディエゴはアメリカ西海岸の都市で,メキシコとの国境に位置しています.もとはメキシコ領であったこともあり,建物や地名など様々な物にメキシコ文化の名残が見られます.サンディエゴのオールドタウン州立歴史公園には,その時代の建物などが保存されており当時の様子を知ることができます.

サンディエゴの生活の中で最もメキシコ文化を感じるのは食事です.街中だけでなく,大学構内の食堂にもメキシコ料理のレストランがあり,タコス(現地では「タコ」といいます)やブリートなどが広く食べられています.

オールドタウン州立歴史公園の様子

メキシコ料理のブリート

研修内容

このインターンシップで,バイオネットワークの可視化および解析を行うためのオープンソースプラットフォームであるCytoscapeのプラグインとして,バイオネットワークの共有を行うためのプラットフォームであるNDExのクライアントアプリケーションの開発を行いました.

Cytoscape[1]は大規模ネットワークの可視化,分析を行うためのオープンソースプラットフォームで,今回の受け入れ先のIdeker研究室もその開発に深く携わっています.150種類以上のプラグインが公開されており,遺伝子制御ネットワークやタンパク質相互作用ネットワーク,代謝ネットワークなど様々なネットワークモデルの解析に広く利用されています.

NDExプロジェクト[2]は,様々な種類のバイオネットワークデータを包括的にweb上で共有するためのプラットフォームを開発するプロジェクトです.NDExは現在webブラウザを通して利用するように開発されているので,あまり高度な分析はできません.したがってNDExのデータを直接Cytoscapeで取り込み利用することが出来れば,より容易に高度な分析が可能になります.

大変だったこと

NDExプロジェクトはチームで開発が行われていました.チーム開発に参加するのは初めてだったので色々と大変なことがありました.例えば,チーム開発では,開発途中のプログラムを共有するバージョン管理システムというものが利用されます.このシステムの使い方を覚えるのはもちろん,人に見せられるプログラムを書くように気を付けなければなりません.また,NDExプロジェクトやCytoscapeのプラグイン開発には,開発プロジェクトをサポートするために様々なフレームワークが利用されており,それらの使い方を学ぶというのも一苦労でした.

研修の成果

この研修を通してCytoscape用NDExクライアントプラグイン「Cy-NDEx」を開発しました.このプラグインによってCytoscapeの強力な分析,可視化機能を利用してNDExのデータを活用することが出来るようになりました.このプラグインには大きく3つの機能があります.ネットワークデータの検索機能,ネットワークデータのインポート機能,NDExで採用されている独自フォーマットのJDExファイルの保存,読み込み機能です.

開発したCy-NDExのスクリーンショット

終わりに

この研修を通じて,様々な技法を用いたソフトウェア開発プロジェクトを体験することが出来ました.特に,自分が利用するためだけではなく,利用者に向けてソフトをリリースすることや,チームメンバーとソースコードを共有することを意識して開発するという経験は貴重でした.また,今回の研修で利用したバージョン管理やユニットテストなどの方法は,今後の研究にも大きなプラスになるでしょう.

また,生物学という分野において,大規模な情報を効率的に共有するためのフレームワークの必要性や,様々な分析を包括的に行うための枠組みを決めることの困難さなども,チームメンバーとのミーティングや開発を通して身を以て知ることが出来ました.

この2か月の海外インターンシップは自分にとって大きな成長に繋がったと思っています.この経験をこれからの研究開発に存分に活かしたいと考えています.

最後になりましたが,このインターンシップを支援してくださった,大阪大学,UCSD及び関係者の方々に心からお礼を申し上げます.

参考文献

[1] http://www.cytoscape.org/

[2] http://www.ndexbio.org/