研修体験記(平嶋崇大)

はじめに

2013年8月30日から2013年11月4日までの約2ヶ月間、ポルトガルのアルマダにあるFaculty of Science and Technology(FCT)において、研究・開発を行いました。ここでは、研究内容と現地の生活について報告します。

アルマダ

アルマダは、リスボン市内から列車で30分ほど南に位置する人口およそ3万3千人の街です。軍事要所であったこの街は、主に農業、漁業で発展したため、現在でも新鮮な野菜や魚介類が売りに出されています。主にリスボン市内で働く人が住むということで、日中は静かな街という印象があります。年間を通して気候は穏やかで、雨量も少なく比較的住みやすい街です。

FCT

FCTは、Universidade Nova de Lisboa (UNL)の9つある学科の内の1つです。1977年に創設されたこの大学は、ポルトガルの中でも名声のある科学技術大学で、7500人の学生の内、6,000名ほどが他国からの留学生ということもあり様々な国からの学生と交流を深めることが出来ました。大学前には、メトロやリスボンからのバスで通うことができ、交通の便は非常に良いです。

引用;

研修内容

私は、Electrical Engineering専攻のProf. Luis Gomesの指導のもと、ペトリネットに関する研究を行いました。ペトリネットは計算機、ソフトウェア、通信等の同時進行並列処理型システムに対する表現、解析、評価、設計のための手法として利用されています。世の中の多くの現象は離散事象システムとしてとらえることができ、またそれらの事象を直接的にではなく数学的理論などから間接的にチェックする傾向があります。そこで、ペトリネットを用いることでシステムのモデル化を可能にし、システムの挙動を確認することが可能となります。ペトリネットでは、システムの状態を表現するために条件を表すプレースと事象を表すトランジションの2つのノードを用います。

本インターンでは、ペトリネットモデル間どうしの通信・制御に関する研究を行いました。そこで、まず本研究室における既存システムである"IOPT Petri Net Class and Associated Tools"を利用しました。"IOPT Petri Net Class and Associated Tools"とは、ペトリネットモデルの編集を行うEditorや、システムの状態遷移図、C言語やVHDLの自動コードジェネレータ等の機能を備えています。"IOPT Petri Net Class and Associated Tools"を用いてペトリネットモデルを作成しコードを生成しました。次にArduinoとスイッチとLED機能を搭載した基盤を接続しシステムの挙動確認を行いました。ArduinoとはAVRマイコンやI/Oポートを備えた基盤で様々なセンサーのインプット情報をもとにしてモータを動かす、音声を出力するといったアウトプットが可能です。またモデルを分解し複数のArduino間でシリアル通信を行い、各々のモデルの挙動を制御するために自動で生成されるコードの部分を変更しました。それによって、複数のモデル間どうしの通信・制御が可能になりました。

今後の展望として、既存のシステム強化を行っていく。現在のシステムでは、Editorで作成したペトリネットに対してCおよびVHDLの2つの自動コード生成しか行えないため、Javaなど多言語に対応することが求められる。また、トランジションが発火した際、トークンの挙動を確認できるようなツールを開発することが求められる。モデル間通信においては、複数のArduinoでつなぎ通信を行っていたが、将来的には無線で通信・制御を行うことが求められる。

研究室の様子

ポルトガルでの生活

私は、学校の近くにある学生寮 - Frausto da Silva Halls of Residence - に滞在させて頂きました。はじめにポルトガルを印象付けたこととして、「人の温かさ」です。学生寮には日本人が一人もいませんでしたが、ポルトガルや、トルコ、フランス、ドイツ、中国といった様々な国からの学生が集まっており、困ったことがあれば助けてくれる環境にありました。また週に数回、友達と一緒に夕食を取り各々の国の文化について話を交わすことで普段では経験できないような日々を送りました。どの国の人も日本とは違って外交的でかつフレンドリーでよく話しかけてくれました。各々グループが出来ており、最初の1週間はなかなかその環境に慣れませんでしたが、このような経験はなかなか出来ないものだと思い、以降は積極的にコミュニケーションをとることができました。自分から話してみることで英語を話す機会が増え、日本についてもより知ってもらえたかと思います。ポルトガル語の理解に苦しみましたが、その度に学生が助けてくれフレンドリーに接して頂いたことが印象的でした。次に「食」です。ポルトガルでは、新鮮な魚介類を味わうことができ特にタラを塩漬けにしたバカリャウやタコを使用した家庭的な料理がポピュラーで、ポルトガルに行った際には是非堪能してみではいかがでしょうか。

寮の学生達と

研究チームとの食事会

おわりに

今回の海外インターンシップで言語だけではなく多国の文化について身近に触れることで多くのことを学ぶことができました。また普段とは異なる環境の中で、他国の人と頻繁にディスカッションを行うことで、自ら進んで意見を述べることの重要性を感じたことが大きな経験となりました。最後に、このような貴重な経験をさせて頂いた情報科学研究科の皆様、研究室の皆様、また現地での研究、生活を支援して頂いた皆様に深く御礼を申し上げます。