はじめに

2013年9月21日から2013年12月15日までの約3ヶ月間、アメリカのカリフォルニア州にあるUniversity of California, Irvine(UCI)において研究を行いました。ここでは、研究内容と現地の生活について報告します。

アーバイン(Irvine)

アーバインはアメリカの西海岸のカリフォルニア州の南に位置しており、ロサンゼルスとサンディエゴの間にあります。治安はとても良好でのどかな住宅街が広がっている他、海沿いはヨットハーバーを備えた高級住宅が多数存在し、Best Location in Southern Californiaと称されています。気候は、非常に温暖で12月でも昼間はシャツ一枚で過ごせ、3ヶ月の滞在中雨にあったのは2日のみと乾燥した気候なのでとても快適に過ごすことができました。道路や公園はきれいに整備され、美しい街並みが広がっていました。しかし、公共交通機関は十分に整備されておらず、唯一の移動手段であった路線バスも30分~1時間に一本程度しか運行されていませんでした。どこに出かけるにも車がないと不便な状況で、車社会アメリカを体感しました。

海沿いの高級住宅地 BALBOA ISLAND

UCI

Aldrich Parkという公園を取り囲むように講義等や研究施設が立ち並び、その周りには学生寮や職員、教員の住宅、スーパーやレストランが存在し、まるでひとつの町のようになっています。キャンパス内では随時、学生によるイベントや模擬店が開かれ、日本の学園祭のような雰囲気でした。学生の6割近くがアジア人で、そのほとんどが中国人でした。大学に付随するエクステンションで英語を学ぶ日本人はたくさん見かけましたが、UCIの学生としてはほとんどいなかったと思います。

Anteater (UCIのマスコット)

研究室・研修内容

私は、Prof. KJ Lin指導のもと、"The Design of an Intelligent Middleware for Flexible Sensor Deployment in M2M Systems"プロジェクトに参加し、センサーを用いたコンテキスト依存のアプリケーション開発のための柔軟で動的なM2Mシステムの構築に関する研究とAndroidアプリケーションを用いた新たなユーザインターフェイスの実装を行いました。

現行のM2Mシステムにおいては製品独自のネットワークプロトコルやソフトウェアを使用しているため、機能の変更などに対して柔軟性を保持していないことが問題としてあげられます。そこで本プロジェクトでは、あらゆるセンサーやプラットフォームに対応できるような拡張性をもつM2Mのプラットフォームとミドルウェアを構築することを目的としています。これらは、将来的に大規模なセンサーネットワークを用いたアプリケーション開発に利用されることを想定しています。本システムでは、対象とする環境に対してセンサーの仕様や設置場所に関わらず全てのセンサーを画一的に操作し、アプリケーションとセンサーデバイスの動的で最適なマッピングを目指しています。その結果開発者は、センサーの仕様を意識せずにその機能のみを考慮してM2Mアプリケーションを作成することが可能となります。

本システムは、マスターサーバと実際にセンサーを取り付けるノードデバイスによって構成されており、Z-Waveと呼ばれる省電力な無線通信規格を用いてネットワークを構築することができます。マスターサーバは、ノードデバイスの探索と認識、および開発者が定義したM2Mアプリケーションに応じた機能とデバイス間のマッピングを行い、アプリケーションの構築を支援します。また、インターフェイスとしてGraphical User Interface(GUI)を備えたFlow Based Programming(FBP)を備えており、あらゆるセンサーを組み合わせた独自のアプリケーションを容易に実装することが可能となっています。

現行のシステムでは、Webブラウザを用いた開発者向けのインターフェイスのみが実装されており、実際のアプリケーション利用者向けのインターフェイスの実装が必要とされていました。そこで私は、Androidアプリケーションを用いたユーザインターフェイスの開発を行い、本システムに追加機能として加えました。

第一段階としてアプリケーションの機能をノードデバイスに配置する機能を構築しました。アプリケーションは、FBPによってデータの流れを表すxml形式のファイルとして定義されており、Androidアプリケーションはこのxmlファイルを命令とともにマスターサーバにリクエストします。リクエストを受けたマスターサーバは、環境内に存在するノードデバイスに対して機能のマッピングを行い、アプリケーションを構築し、その結果をレスポンスとして返します。今後第二段階として、Androidアプリケーションを実行しているスマートフォンやタブレット端末に付随するセンサーを、アプリケーションを構成するノードのひとつとして利用できるように、機能を拡張していく予定です。

研究室があるEngineering Hall

私のデスクがあったCubeと呼ばれるスペース

生活

私は、学校からバスで40分ほど移動したところにホームステイをさせていただきました。毎日の通学は大変でしたが、バスの中やバス停での会話や人々との出会いはとても楽しいものでした。食事面に関しては、食べなれていないスパイスの香りや画一的な味付けにたいして不満を感じることもありましたが、ホストファミリーの方がいろいろと気遣ってくれたので問題なく過ごすことができました。ホストには5歳と3歳のお子さんがいたので、毎日賑やかに過ごしていました。

HalloweenやChristmasが近づくと各家庭で工夫を凝らしたデコレーションが施され、イベントを大切にするアメリカの習慣を感じることができました。Halloweenの日は平日で、大学では授業が行われていたのですが、仮装した学生でキャンパス内は賑わっており、キャラクターの仮装をしながら真剣に質問している学生の姿はとても滑稽でした。11月の終わりにはThanksgivingというアメリカで最も重要な祝日があり、離れて暮らす親戚、家族が一同に会して食事をするイベント、日本でいうとお盆のようなイベントが行われました。私は、教授の家に招待していただき、ターキーの丸焼きをはじめ、豪華な料理をいただきました。

様々な人種の人々が暮らしているアメリカでは、多くの文化について知ることができるうえ、アメリカの共通文化を通して楽しい時間を共有し、素敵な思い出をたくさん作ることができました。人々とのつながりを大切にし、家族や身の回りの人に常に感謝の気持ちを持って暮らしている、アメリカに住む人々のすばらしい一面を体験することができて、自分自身のこれからの人生にとってかけがえのないものを手に入れることができたと感じています。

ホストファミリー

ハロウィンの飾りつけ

終わりに

3か月間の海外インターンシップを通して、非常に貴重な経験をたくさん得ることができました。日本を離れ単身で長期滞在することに、治安や言葉の面などで大きな不安を抱えて渡米した僕ですが、研究室のメンバーやホストファミリー、アメリカで出会った全ての人々のおかげで、有意義な時間を過ごすことができました。研修においても、日本とはスタイルがことなる点が数多く見られはじめは戸惑いましたが、皆さんの支えもあり充実した研修を行うことができました。今回の研修において得られた経験を今後の人生において生かしていけるように、これからも努力を続けていこうと思います。

最後に、このような貴重な経験を支援し、提供してくださった大阪大学、UCIの先生、学生をはじめに関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。