はじめに

大阪大学の海外インターンシッププログラムで、2013 年 10月 13日から 2013 年 12月 13日までの約60日間、シンガポールに あるNTU(Nayang Techlonogical University、南洋理工大学)において 研修を受ける機会を得ました。 ここでは、その体験についてご報告いたします。

NTU

NTUでは,PDCC(Parallel & Distributed Computer Centre)という研究室に配属し,Bu-Sung Lee先生およびResearcherであるChonho Leeさんの指導の下で,Hadoopを利用した並列画像処理システムを開発しました.Hadoopは並列分散処理基盤であり,クラスタ環境で並列分散処理を行うためのMapReduceというプログラミングモデルを提供します.私は日本でHadoopについて研究しています.PDCCではHadoopに関しての論文を執筆しており,私もそのうちのいくつかを読み,興味を持ったため,本研究室を希望しました.Hadoopの知識がすでにあったため,今回の研修内容にも私自らシステムの設計や私の専門分野であるHadoopプログラムの高速化についても提案することができました.

所属したSchool of Computer Engineering

PDCCのメンバー

研修内容

今回の海外インターンで,人がエクササイズをしているビデオから各部位毎の座標を抽出するというシステムを開発しました.本システムの目的は体の各部位の動きと健康であるかどうかや年齢および性別などの関係を見つけることです.そのために次の二つのステップが必要です.1つ目は体の各部位を追跡すること,2つ目はその追跡したデータをもとにクラスタリングなどにより解析すること.今回の2か月のインターンで,1つ目のステップである各部位を追跡するシステムを開発しました.

本システムの入力は画像および動画です.対象データが大きいため,Hadoopを利用しました.さらに各部位を抽出するために,オープンソースのコンピュータビジョン向けライブラリOpenCVを利用しました.

本システムを効率よく実装するために,MapReduceフレームワークのShuffleというフェーズを利用しました.Shuffleフェーズを有効に利用することで追跡に必要な処理(ソートや各部位の分類等)をフレームワーク側で自動的に行うことができました.必要な処理をフレームワーク側で自動的に行うことで,Reduceタスクの処理を軽くすることにつながり,スケーラブルなシステムを開発することができました.さらにプロプロセスとして入力となる動画(画像)を圧縮しました.このプリプロセスにより,プリプロセスをしなかった場合に比べて,約6倍から7倍の高速化を達成しました.

このような実装方針を指導教官であるChonho Leeさんや,PDCCでMapReduceについて研究しているTangらと議論することで決めました.研究内容について英語で議論することは初めてだったため,苦労はしましたが,ホワイトボード等を使って,自分の考えている実装アイデアを何とか伝えることができました.

研修最後の週に研修結果をPDCCのメンバーの前で発表を行い,さらに12Pのレポートにまとめました.このレポートをもとに指導教官であるChonho Leeさんが論文を提出しました.

シンガポールでの生活

シンガポールは暑いイメージでしたが,日本の夏より涼しく,非常に快適でした.またシェアハウスのオーナー(昔Lee先生の下で研究をしていた)やPDCCのメンバーが非常に親切で,気遣ってくれたおかげで,楽しく過ごすことができました.

言葉の問題についてですが,現地の人は発音になまりがあるため,話すより聞き取りに苦労しました.そのためToeicなどのきれいな発音ではなく,生の英語を聞き取る練習を日本でもっとすればよかったと思っています.

観光としてユニバーサル・スタジオ・シンガポールやマリーナベイサンズなどを訪れました.シンガポールにはマリーナベイサンズやレーザーショーなど夜景がきれいなところがたくさんあるので,ぜひ訪れることをおすすめします.

ユニバーサル・スタジオ・シンガポール

マリーナベイ

課外活動

私はサッカーが趣味で日本でもフットサルサークルに入っているのですが,指導教官であるChonho LeeさんもNTUのフットサルサークルに入っていたので,その活動に参加させていただきました.週2で活動しており,NTUの教員と大学院生が主なメンバーでした.また学外のボーリングサークルにも参加しました.このボーリングサークルはいろいろな国の人が参加していました.このような課外活動を参加することで交友関係を広げることができました.そのため趣味を持つことは,特に海外において人脈を広げるうえで重要だと感じました.さらにこちらで働いている日本人の友達も作ろうと,Jurong会というJurong地方に住んでいる人たちのグループに入れていただきました.彼らはシンガポールに来て長いため,文化の違いなどに困ったとき助けていただいて大変助かりました.

Bowling and Billiards

Fun Club Jurong会のメンバー

現地で感じたもの

強く印象を受けたことは,職種,国籍問わずストイックかつポジティブな人たちが多いということでした.向こうで働いている人は契約制の人が多いらしく,解雇なども頻繁に起こるようです(現にNTUの准教授が去年40%近く入れ替わりしたようです).しかしそれを悲観的にとらえるのではなく,次にもっと良い仕事を見つけようと前向きかつストイックにとらえていました.

そのことはNTUの学生にも当てはまり,面白い制度だなと思ったのはNTUのアクティビティポイントと呼ばれるものでした.このポイントは留学やインターン,起業および部活など学問以外のことにチャレンジすることで手に入り,このポイントが高いと寮のよい部屋にはいれるなどの利点があると教えてくれました.そのため勉強はもちろんのこと,NTUの学生は様々な学外活動に積極的なようです.この制度は競争心を煽るためにも大変有効だと感じました.

まとめ

海外インターンの2か月は非常に価値のあるものでした.研修内容はもちろんのこと異なる文化に触れ,また国籍問わず様々な人とお会いできたことは,再来年社会に出る予定である私にとって,大きな影響を持つと感じています.特に競争心が強い現地の人々にお会いできたことは非常に刺激を受けました.最後に海外インターンシップの機会を与えてくださった大阪大学の方,現地での生活でお世話になったすべての方からお礼を申し上げます.