研修体験記 (佐藤 琢磨)

はじめに

2014年8月31日から2014年11月23日までの間、ポルトガルのリスボンにあるUniversidade Nova de Lisboaにおいて、研究を行いました。ここでは、研究内容と現地の生活について報告します。

滞在先

ポルトガルはユーラシア大陸の一番西に位置しており,田舎な風景が広がるのどかな場所です.16世紀の中頃には種子島にポルトガルの商人が漂着し鉄砲を伝えるなど, 日本との関係も深い国です.私が滞在したのは首都リスボンで,7つの丘の街とも呼ばれています.とにかく坂が多く,道は日本のようにアスファルトではなく石畳であり, でこぼこしているため市内を歩き回るのはとても大変です.そのためいたるところに路面電車が張り巡らされています.物価はほかのヨーロッパ諸国に比べて安いため,とても過ごしやすい場所です.

リスボンのシンボルの1つである路面電車です.市民の足としての役割のほか主な観光地にも行くことができるので,たくさんの人に利用されています.

現地での生活

現地では大学から歩いて3分くらいの大学が管理している学生寮に滞在していました. 寮はリスボン市内とは離れた郊外に位置しており,周りには何もなく住むという観点からはとても不便でした. 一応寮の中のキッチンなども利用することはできましたが,一番近くのスーパーでさえトラムで10分程度かかるため, 昼食や夕食は基本的に学食でとっていました.ポルトガルではタコライスが日本でいうカレーライスのような位置づけにあり, 日替わり料理がタコライスの時には長蛇の列ができていました. 寮にはポルトガル人以外にもドイツ,イタリアなど様々な国から来ている人が住んでおり,特にブラジルから来ている人が多かったです. ブラジルの公用語がポルトガル語であるため,留学先としてよく選ばれているそうです.

Universidade Nova de Lisboa

1979年に設立された比較的新しい大学で,工学部以外にも経済学部や外国語学部なども備える総合大学です. ポルトガルではコーヒーが生活の一部になっているため,ほぼ一つの建物に一つのカフェがあるのがとても特徴的でした. また大学内にてビリヤードやダーツで遊ぶことができたり,購買にてアルコールが取り扱われていたりと日本の大学との違いにとても驚かされました.

大学の正門

Universidade Nova de Lisboaでは退職された教授が,自分の名前がはいった緑色のベンチをプレゼントするという慣習があるそうです.

研究室・研修内容

私はElectrical Engineering専攻のLuis Gomes教授の研究室にお世話になりました. この研究室ではペトリネットをテーマにした研究を取り扱っています.ペトリネットとは離散分散システムを数学的に表現できるモデル言語であり, システムをグラフで表現することが可能になります.そこでプログラミングができない人でも簡単にシステムを構築できるように,GUIでグラフを作成し,シ ステムを自動生成できるIOPT Toolsというウェブベースのアプリケーションを開発しています.現在IOPT Toolsでは同期を必要としないシステムを作成することは可能ですが, 複数のシステムで同期を必要とするようなシステムを作成することはできないという問題があります.私の研究はIOPT ToolsにEthernetインターフェイスを実装し, 同期を必要とするシステムの作成を可能にすることです. 同期を取るためのパケットはロスしてはならないため,通信プロトコルとしてはTCP/IP通信を用いました. TCP/IPは通信先とのコネクションを確保してからメッセージを送りメッセージの受信を確認できますが,送信先のIPアドレスやソケットの番号を知る必要があります. IPアドレスを調べてその都度コードを書き直すことは手間になるので,UDP通信を用いてIPアドレスを伝達することで,TCP/IPのコネクションを確立する手法を実装しました. この手法でコネクションを確立できるかどうかを確かめるために,実際にIOPT Toolsにてグラフを作成し,自動生成したシステムをEthernetシールドを装着した Arduinoにアップロードし動作確認を行いました.最初は3つのArduinoを使用してこれらすべてをEthernetインターフェイスで接続し, システムの動作させました.3つのArduinoを用いた場合ではシステムが問題なく動作したため,次に台数を増やし7台のArduinoでも同様のテストを行い, 安定して動作をすることが確認できました. 次に違うインターフェイスを同時に用いた場合でもただしく動作するかどうかを確認するために,9台のArduinoをSerial通信インターフェイスとEthernetインターフェイス の両方を用いて接続し,システムの動作確認を行いました.接続は出来ましたが,しばらくするとメッセージのやりとりが途切れてしまうという問題が生じました. この問題は研修期間内に解決することができなかったため,今後違うインターフェイスを用いた場合でも正しく動作するように改善する必要があります.

Arduinoを用いて動作確認をしている様子

終わりに

初めての海外生活ということで,行く前はとてもナーバスになりましたが,現地の研究室のメンバーによるサポートのおかげで充実した研修を行うことができました. また英語を話すことに全く自信がなかったのですが,3か月間生活できたことで少しだけではありますが,自信を持つことができました. 今回得られた経験を学生での生活のみならず,社会に出てからも生かしていきたいと思います.
最後に、このような貴重な経験を支援し、提供してくださった大阪大学、Nova大学の先生、学生をはじめに関係者の皆さんに心からお礼を申し上げます。