創設の目的と理念
情報科学研究科は、大阪大学大学院の工学研究科・基礎工学研究科・理学研究科に分散して存在していた情報およびネットワークの技術に関連する教育研究組織を改組・再編して、先進的教育研究拠点を築き上げ、新たな情報科学分野を展開し、その深化・充実を図る体制を形成するものです。
情報関連分野は、1900年代半ばから半世紀に亘り情報処理の技術領域で大きく発展してきました。ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツの順に技術が発展し、その体系化へと結びつき、さらには抽象的な再利用可能な知識として受け継がれることにより、科学技術的側面からの独自の学問体系が構築されてきました。その学問体系の構築のなかで、電子工学・通信工学・情報工学・システム科学・情報システム工学などの面から、優れた先導的研究成果を生みだし、優秀な人材を輩出してきました。
しかしながら、大阪大学における情報関連の教育研究組織は、各専攻に分散した形態となっており、旧来の学問分野に基づく専攻の枠組みの中で、
- (1)専攻の制約による学際的な研究推進の体制構築の困難さ
- (2)情報科学技術に関する新規分野の欠如
- (3)情報科学技術の新たな展開に対する柔軟性の欠如
といった窮状に直面しており、これを打開する新たな組織作りの必要性が学内外から強く指摘されております。
そこで、情報科学研究科は、このような各専攻に分散した教育研究組織を改組・再編することにより、関連分野の教育研究の統合・集約化を実現し、より深い情報科学技術の発展および教育研究の効率化を目指すと同時に、重点的に新規分野の組織拡大を図ることにより、情報科学技術の新たな学問領域の開拓と展開を実現することを目的としたものです。これにより、高度情報化社会に大きく貢献する情報科学技術の提供が可能となり、さらに情報関連の包括的な学問体系の構築が実現され、関連分野の発展を大きく加速することが可能となります。
情報科学研究科の専攻
情報科学研究科は、境界領域・複合領域の先端科学技術の高度な教育・研究を着実に推進し得るように配慮し7つの「専攻」を設けていますが、学生指導などは小講座制による「講座」に分けて行います。専攻および、それに属する講座は次の表の通りです。
専攻 | 講座 |
---|---|
情報基礎数学 | ・組合せ数学 |
・離散幾何学 | |
・離散構造学 | |
・応用解析学 | |
・大規模数理学 | |
・コンピュータ実験数学 | |
情報数理学 | ・計画数理学 |
・非線形数理 | |
・情報フォトニクス | |
・システム数理学 | |
・知能アーキテクチャ | |
コンピュータサイエンス | ・アルゴリズム設計論 |
・ソフトウェア設計学 | |
・ソフトウェア工学 | |
・並列処理工学 | |
・知能メディアシステム | |
・ユニバーサルソサイエティ | |
情報システム工学 | ・集積システム設計学 |
・情報システム構成学 | |
・集積システム診断学 | |
・ディペンダビリティ工学 | |
・メディア統合環境 | |
・高機能システムアーキテクチャ | |
・高臨場感コミュニケーション | |
情報ネットワーク学 | ・先進ネットワークアーキテクチャ |
・インテリジェントネットワーキング | |
・情報流通プラットフォーム | |
・モバイルコンピューティング | |
・ユビキタスネットワーク | |
・サイバーコミュニケーション | |
マルチメディア工学 | ・マルチメディアデータ工学 |
・セキュリティ工学 | |
・ヒューマンインタフェース工学 | |
・ビジネス情報システム | |
・応用メディア工学 | |
・マルチメディアエージェント | |
・ユニバーサル対話エージェント | |
バイオ情報工学 | ・ゲノム情報工学 |
・代謝情報工学 | |
・バイオシステム解析学 | |
・バイオ情報計測学 | |
・人間情報工学 |