代数幾何学と数論幾何学

代数多様体上の微分方程式や接続を分類するモジュライ空間を数論的観点から調べることがおもな研究テーマです。たとえば、正標数における微分方程式およびその解は複素領域などの場合と異なり特殊な振る舞いをするため、（p進的な手法を含む）正標数特有の理論を発展させることによって理解する必要があります。他方、そういった特殊性により、正標数の「良い」線形微分方程式（およびその一般化）は、組み合わせ論、表現論、そして物理学を背景とする数え上げ幾何学などと密接に関連しており、大変興味深い繋がりを見出すことができます。近年は、この繋がりを駆使しながら、p進Teichmüller理論と呼ばれる数論幾何学の理論（の一部）を土台としてそのような対象のモジュライ理論をより深化させる取り組みをおこなっています。