在学生の方へ講義・履修高度教育活動教育の国際化2025年度リスト

2025年度(令和7年度)の海外インターンシップ

アンダーソン 圭那[修士1年]
情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 鬼塚研究室

滞在先:トレジャーデータ社 (TREASURE DATE), CA, United States

渡航期間:2025年7月4日~2025年8月10日

インターン先について

私は2025年7月4日から8月10までの5週間、米国カリフォルニア州マウンテンビューにあるTreasure Data, Inc. (トレジャーデータ社)にてインターンシップに参加しました。Dev AI(データベースシステム)チームに所属し、実務および研究開発に取り組みました。

マウンテンビューでの生活

実習先のあるマウンテンビューは、いわゆる「シリコンバレー」の一角に位置しています。すぐ近くにはGoogleの本社をはじめ、Apple、Meta、NVIDIAといった世界最先端のテクノロジー企業が拠点を構えており、街全体がイノベーションの熱気に包まれているグローバルなハブであることを肌で感じました。特にGoogleやAppleは街みたいに形成され、その中を歩くだけでも企業の雰囲気を感じることができました。

滞在中の気候は非常に素晴らしく、真夏であるにもかかわらず最高気温は25度程度でした。湿度が低くカラッとしているため、日中の散歩も非常に心地よく、快適に過ごすことができました。対して夜になるとかなり冷え込むため、夏とはいえ長袖は必須でした。

一方で、典型的な車社会であることも実感しました。宿からオフィスまでは毎日バスで通勤していましたが、車だと20分ほどのところをバスだと50分ほどかかりました。さらに場所によっては交通機関を使うより歩いたほうが早いと感じるところもありました。広大なエリアに施設が点在しているため、徒歩での移動には厳しさがあり、移動手段の確保が生活の鍵となると感じました。

Treasure Data社について

Treasure Data社は2011年に日本人エンジニアによって創業され、現在はシリコンバレーに本社を置く企業です。主な事業内容は、企業向けのカスタマーデータプラットフォーム(CDP)の提供です。多種多様なデータを大規模に収集・保存・分析する基盤を提供しており、1日あたり150万件以上のクエリを処理するなど、世界中のグローバル企業でその技術が活用されています。

研究内容

インターンシップでは、主に新しいフロー型クエリ言語である「Wvlet(ウェーブレット)」の開発に携わりました。Wvletはデータ処理の順序通りにクエリを記述でき、型安全性や再利用性を高めた言語で、既存のSQLエンジン(TrinoやBigQuery等)向けに最適化されたSQLを生成(変換)します。

具体的な取り組みは以下のとおりです。

● SQL変換コマンドの実装: 既存のSQLをWvlet記法に変換するCLIコマンドを開発しました
● VS Code拡張機能の開発: 開発者体験向上のため、シンタックスハイライト機能を備えたVS Codeようプラグインを開発し、リリースフローの整備を行いました
● バグ修正とパーサーの改善: 本番環境のワークロード分析に基づき、IF関数の構文対応や、予約後に識別し利用許可など、パーサーの堅牢性を高める修正を行いました

さらに大規模データ処理における最新の研究トピックについてもメンターやエンジニアと深く議論を行いました。特に焦点を当てたのは以下の3つです。

1. Query Fusion
Amazon Athena等で実装されている技術で、複数のクエリや自己結合(Self-join)など重複する計算処理を一度のスキャンで済ませるようにクエリプランを書き換え、計算コストとI/Oを削減する手法について学びました。 2. Materialized View
クエリ結果を事前に計算・保存して再利用する技術です。特に複雑なJOINを含むビューの増分更新(Incremental Maintenance)や、データの鮮度とメンテナンスコストのトレードオフについて議論しました。 3. Incremental Processing
Snowflake等で見られる、前回実行時からの差分データのみを処理する技術です。全データを再計算するのではなく、変更分のみを追跡・計算することで効率化を図る仕組みについて理解を深めました。

おわりに

シリコンバレーという最先端の環境で、実際のプロダクションコードに触れ、新しい言語の開発に携われたことは、私にとって非常に刺激的な体験でした。また、大学での研究とは異なる視点で、実システムの課題解決やスケーラビリティについて議論できたことは、エンジニアとしての視野を大きく広げる機会となりました。このインターンシップで得た技術的知見と貴重な経験は、今後の研究活動やキャリアにおいて大きな糧になると確信しています。

最後に、今回の海外インターンシップに際し、快く受け入れてくださったTreasure DataのTaro L. SaitoさんとJenny Giangさん、現地にて面倒を見て頂いたMichael Yorkerさん、Kazuki Ohtaさん、そしてチームの皆様、共同研究の打ち合わせやインターン先のご紹介など全体を通してお世話になった鬼塚先生、またこのような貴重な機会を提供していただいた大阪大学情報科学研究科の関係者皆様に深く感謝を申し上げます。

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