受験生の方へ研究者から受験生へのメッセージリスト

研究者から受験生へのメッセージ

マルチメディア工学専攻
コンピュータビジョン講座

准教授

大倉 史生

Okura Fumio

現在、科研やJST創発的研究を活用して進められている
研究内容について教えてください

科研費基盤研究(B)「植物表現型解析のための『制約保証』三次元復元(2025年4月-2029年3月)

JST 創発的研究支援事業「Plant Twin: 育種・栽培のための植物仮想化」(2021年4月-2028年3月)

最終的に社会実装につながることを目的にした基礎研究を行っています。今ある技術を応用する研究はすでに多く存在し、私もサポートしています。そのため科研やJST創発的研究では、どちらかというとその元となる基盤技術を創りたいと考えています。

現在は植物の構造を復元する、基盤技術の開発に主眼を置いています。最終的な目標は、カメラなどから取得した植物データを用いて、完全な仮想化植物モデルを創ること。つまり植物のデジタルツインの生成です。植物を撮影した画像群から、その形状のみならず、枝葉構造、時系列変化などを遮蔽領域も含めて再現することをめざしています。

この技術が実現すれば、デジタルツインを用いた栽培シミュレーションや遺伝子との対応付けが可能となります。栽培の自動化、育種(品種改良)の高速化への強力なツールが実現し、植物科学や農学分野に強いインパクトを与えるはずです。

さらに育種の面では、私を含む多くの方の研究から「この見た目や性質が出ている発芽株の遺伝子型は優良だ」といった、植物の形質(フェノタイプ)から遺伝子の優劣を判断できる知見が集まってきています。いずれはデータベース化して、気候変動が激しい現代に求められるスピーディーな品種改良に役立てばと考えています。

また植物は複雑な形態をしていますが、構造や生育についてルール(制約)があることもわかってきています。そのルールを踏まえた植物の三次元復元、デジタルツインを生成する技術の体系化というところにも取り組んでいます。

究極的にはバーチャル空間の中で植物のデジタルツインを加速度的に成長させることで、栽培や品種改良の予測・効率化につなげたいと考えています。「植物のデザイン」とも呼ばれるこの領域に到達することが目標で、可能であれば2030年頃には、植物のデザイン・成長予測ができる技術を生み出せればと考えています。

大阪大学ISTの魅力はどんなところにあるとお考えですか?

大阪大学には最先端マインドがあります。情報科学研究科(IST)に限らず、世界のトップを走る研究活動をしようという気持ちを持つ人が多いと、自信を持って言えます。

私が所属するマルチメディア工学専攻の先生方に限っても、世界的に権威ある学会に論文を発表することで名を馳せてきた方々ばかりです。「自分の研究で何か発見があったのならば、きちんと世界的に認められるところで発表をしていこう」というマインドセットが阪大にはあり、そうした環境で成長できるというのはとても意義があることです。

私自身も近年ですと、先ほどお話ししたJST創発的研究の成果を、コンピュータビジョンに関するトップ国際会議「ICCV2025」で発表しましたし、その拡張版を国際紙に投稿しています。

そもそも世界のトップ大学やGoogleなどの国際企業に在籍している研究者は、トップレベルの学会しか視野に入れていません。もちろん、そこで自分の研究や存在を認められるまでは茨の道です。しかし出し続けなければ道も拓けません。挑戦し続けるマインドを持たせてくれるという意味でも、大阪大学は稀有な場所だと思います。

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