受験生の方へ研究者インタビューリスト

研究者インタビュー

情報システム工学専攻
知的集積システム講座

准教授

塩見 準

Shiomi Jun

先生は京都大学から阪大の情報科学研究科に移られてきたばかりですが、
京大と阪大にはどのような違いがあると思いますか?

移る前の印象では、有名な研究を数多く手がけている、すごい集団だなということですね。それでいて喧伝せず、静かに研究を淡々とこなされている大学だな、という印象はありました。

研究内容では、ソフトウェアやアプリケーションの研究が多いイメージがありました。私はこれまで、ローパワーな集積回路の設計や、セキュリティといった、ハードウェアベースの研究をしていたんですね。ですので、そういうところに行ったら、学際的な新しい研究の視点が創造できるのではないかな、と思い、情報科学研究科に入門することを決めました。

研究科の学生さんは、素直でまじめな子が多いなと思います。教員の意図を汲み取って動いてくれる。教員の言いたいことを理解して、それに基づいて自分で動いてくれる人が多いような気がします。

ひとつの研究を続けていると、行き詰まってしまったり、
解決するための糸口が見えなかったりすることもあるかと思いますが、
塩見先生はどのように対処されていますか?

考え続けてもどうしようもならない時は、ひとまず問題を寝かせますね。そのうえで全く別のプロジェクトの論文を読んでいたりすると、寝かせていた課題の解決方法をたまたま見つけて、「おおっ」となることがあります。見つかればそのまま研究に持っていくこともできるので、偶然要素に任せるというのはよくやります。

あまり偉そうなことは言えないのですが、色々なところにアンテナを張って、全く別のことをしながら「これはここに使えるんじゃないか」と考える――学際的な視野でものをみる、というのをやるといいのかなと思っています。

自分で一つの問題をずっと考えているのは大好きなんですが、問い立てが偏りやすくなってしまい、新しい解がなかなか出てこないんですよね。これには何の意味があるんだろうと思いながらでも、異なる分野の話を聞いたりすると、新しい出会いがあったりします。それが研究にはいいのだろうと思います。

新しい出会いは自分で作るのも大事だと思っています。最近はとんこつと製麺機と鍋を通販で買って、ラーメンを一から作りました。自分でスープを煮込んで、製麺して、おうちラーメンをするというプロジェクトです。これまで3回やったのですが、意外と家でも作れるので面白いですね。大変ですが3~4時間あれば麺とスープを作れます。一人で練って製麺するのは重労働ですが、無心に作業していると、新しい発見があって面白いです。

博士を取った後について悩むことがあるのですが、
塩見先生はいつ頃からアカデミアに残ろうと思われていたのでしょうか?

僕は大学に入学した頃から博士になろうと漠然と思っていましたが、博士を取るところまでしかビジョンはなかったですね。興味の赴くままに研究をしていて、気づいたら今の仕事をしています。

ただ、卒業してからもアカデミアに残ると、学生さんがつきます。学生さんを指導したり、学内運営にも携わっていくことになります。自分以外のことを考えなければならない時間が増え、自分に使える時間がとても減っていくな、というのは感じました。

僕は早期卒業をしたのですが、卒業してから、研究だけできた時間は貴重だったな、と思い返しています。大いに悩んで自由な3年間を過ごすのは、すごく良いことだと思います。

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