マルチメディア工学専攻
ビッグデータ工学講座
准教授
佐々木 勇和
Sasaki Yuya
研究内容について教えてください
主たる研究テーマは「グラフデータの管理と分析」です。グラフデータは、ヒト・モノ・コト間の関係性をモデル化するデータ構造であり、身近なサービスにも応用することができます。例えば、Google検索や、Amazonの商品推薦、SNSの友達推薦、対話型のAIはその代表です。グラフデータを高速に探索するデータベースの研究やグラフデータに適した深層学習の研究を中心に行っています。関係性の分析は、人や社会の理解にもつながる重要な研究です。

また、これらの成果は化学や物質科学、医学や都市工学といった分野で広く活用されています。データサイエンスやコンピュータサイエンスの面白いところはどのような分野とも一緒に研究できることで、共同研究を行うと様々な分野の知識が身に着きます。知識の広がりを実感することは楽しく、自分にも合っていると感じています。
「公平性とは何なのか?」
最近はグラフデータ分析に公平性を中心とした信頼性を組み込むことを目標としています。個人や集団にとっての公平性をAIに組み込むことで、公平性をベースとしたAIを構築できるようになります。公平性自体が人間社会においても複雑なため、情報学だけではなかなか解くことが難しい課題です。
様々な集団における「公平性」はどういった背景で形成されるのか、そしてギャップはどんな集団間に生まれるのか、そもそもどのような「公平性」が世界に存在しているのか、AIを「信頼」する場合の感情はどういうものなのか、という社会科学的な側面にも興味があります。日本、オランダとデンマークの研究者や、哲学、心理学、社会学の研究と協力して、多くの国の多様なバックグラウンドを持った人々に、多種多様な質問を投げかけながら探っています。信頼性や公平性を調査するために、最先端の公平性に関する技術を開発すだけではなく、アンケートをベースとして事例を収集し、国際的な比較やどのような公平性を人は信頼や公平と感じるのかを調査しています。
https://yuya-s.github.io/musubi/
この研究プロジェクトを『結び』と名付けて、国際・学際的な研究を推進しています。プロジェクトのロゴとして、渡り鳥であるつばめを使っていますが、「幸運を運ぶ鳥」と言われている理由に加えて、僕がつばめが好きだからという理由で採用しました。このロゴは日本の伝統工芸である木版画により作られています。研究プロジェクトでは今だけでなく、時間的なつながりも大切にしたいという想いからこのデザインを選びました。

