受験生の方へ研究者から受験生へのメッセージリスト

研究者から受験生へのメッセージ

情報数理学専攻
システム数理学講座

助教

岩崎 悟

Iwasaki Satoru

大阪大学ISTの良さはどのようなところだと思いますか?

研究室同士の横の繋がりや研究者同士の近さは、オンでもオフであっても、刺激や前に向かう意欲を与えてくれます。
それ以外では、ISTは研究者へのサポートがとても手厚いのが特長です。研究資金助成のための国の制度や、海外での合同研究の情報など、様々な情報を配信してもらえます。「研究者が研究に集中するために役立つか、有用か」を基準に取捨選択された情報をもらえるため、私たちは研究に集中しながら、遅滞なく必要な情報をつかみ、利用することができています。こういったサポートがあるからこそ、私たちが快適に日々研究に集中できていると言えます。

私がそれ以上に感謝しているのは、数多くの「挑戦する場」を提供してくれることです。
研究関連のイベントやシンポジウムなどへ参加することはもちろん、前述の国の制度への申請もまた挑戦です。助成金などの申請に際しては自分の研究内容を、研究を知らない異業種の人にもわかりやすく、かつ有用性をアピールできる文書を作成する必要があります。専門家向けに作成する論文とは異なる言葉遣い・労力を求められますが、自分の研究を俯瞰できる稀有な機会にもなっています。

先ほど話したように「打席に立たねば、ヒットは打てない」が私のモットーです。「やってみるか」というくらいの身軽で気軽な気持ちで、様々なことに挑戦をするよう心がけています。そして、挑戦したからには、自分の糧になること、自分の行動・理念に結びつく学びを得ようと思っています。そのように考えて挑戦していると、研究に関係ないことであっても決して無駄にはならず、必ず何かしらの学びが得られるもの。「いまの彼の発言はためになった」「あの研究者の思考方法は自分にとってもプラスになる」と自分に活かせる物が発見できれば、その挑戦は成功だと考えていいでしょう。

合同発表会での交流の場や季節毎のイベントなども積極的に開催してもらえるISTは、学びと挑戦、そしてそこから得られる刺激に満ちた環境なのです。

これから研究科を目指す学生に向けて、メッセージをお願いします

学部生には「うまくできなくてもいいんだよ」のスタンスで、卒業まで細やかに指導しますが、修士はそうはいきません。

この研究室、そして研究を選んだということは、やりたいという意志が自分の中にしっかりあるからだと私は捉えています。まずは、数理学への興味のほどを自分の言葉で話してほしい。「この研究をやりたいという意志」を私や研究室の仲間にしっかりアピールして欲しい。その上で、どういうアプローチで研究を進めるかを考え抜いて欲しい。

数理学では「何が問題か自分で見つけて、その解決のためのアプローチを自分で考えて、実行して、プロセスを解析して、失敗したら問題に戻って、またアプローチを考える」という能力がとても問われます。つまりPDCAを回す能力です。修士の間にPDCAを回す能力を身につけてほしいと思っていますし、そのサポートは惜しみなくします。とはいえ、それは簡単ではなく、とても大変な道のり。だからこそ、「やりたい研究があるから、選んだのです」と胸を張って、強い意志を見せて欲しいのです。
あなたの意志をしっかり伝えてもらえれば、指導やサポートで応えます。

「指導やサポートで学生を引っ張っていくこと」はもちろん大切ですが、それ以上に「共に育つ」ことがより重要だと考えています。阪大には横の繋がりがあります。それだけではなく、研究では上下の繋がりも大切です。お互いに刺激し合うことで、研究のヒントが見つかりやすくなる。ヒントが見つかる可能性を大きくするのもまた、「研究したい。考えることが好き」という自らの意志なのです。

確固たる意志、そして情熱を持った方と共に研究し、成長したい。それが研究者としての幸せだと考えています。いっしょに数理学の打席に立ち、世の中がびっくりするようなヒット、いやホームランを生み出しましょう。

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