研究者紹介 バイオ情報工学専攻

バイオインスパイアードネットワーキング講座

招へい教授小蔵 正輝

Ogura Masaki

バイオ情報工学専攻

バイオインスパイアードネットワーキング講座

2014年 Ph.D (Mathematics), Texas Tech University
2014年 Postdoctoral Researcher, University of Pennsylvania
2017年 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学領域 助教
2019年 大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授
2024年 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 教授

研究テーマ

群行動の制御

制御工学の発展により自動車・ハードディスク・ドローンなどの人工物の動きを高い精度かつ信頼度をもって操ることができるようになりました。例えばハードディスクの場合は読み出し装置がナノメートルオーダーの精度で制御されています。今や自動車に不可欠なアンチロック・ブレーキシステムの設計ではフィードバック制御の考え方が欠かすことの出来ない役割を果たしています。このような個々の人工物の制御に関する大きな進歩が理論・応用の双方で20世紀に起こりました。

一方で大量の非人工物、特に生物群の動きを思い通りに操ることは依然として難しい問題として残されています。個体の特性のばらつき、信頼できる動的モデルの欠如、無視できない非線形の存在など、従来の制御工学だけではアプローチが困難な課題が多く存在しています。そこで若宮研では、制御工学の長所を活かしつつ生物からも学ぶことで、生物群の誘導のための革新的な情報通信技術の開発に取り組んでいます。

研究対象とする生物群は家畜群,魚群,鳥群,群衆など多岐にわたります.それぞれの群れの特性,属する環境の特徴,とりうる制御方策の範囲,そして誘導の目的に応じて適切な情報通信技術を開発します.理論とシミュレーションの両方を柔軟に用いると同時に,開発した技術を実際の生物群へ適用することで,技術の連続的な改善を行います.

異種のエージェント群を誘導制御するための制御アルゴリズム

群れの誘導制御を体験するために研究室で開発したゲーム(スナップショット)

深層展開を用いた制御

非線形システムの最適制御問題は最も汎用的な形の連続最適化問題の1つですが、解析解を求めることは一般的には不可能で、これまでさまざまな数値解法が提案されてきました。しかし、既存のどの方法も非線形システムの最適制御問題の全ての形をカバーすることは難しく、また高度な数学知識が必要となることが大きなハードルとなっていました。

本研究では、動的システムの状態変化を多段階のレイヤー構造のディープニューラルネットワークに展開する深層展開を用いた制御系設計手法を提案しています。このニューラルネットワークにおいて各レイヤーはある特定の瞬間における動的システムを表します。また、各レイヤーには、制御入力を決定する学習可能なパラメーターが含まれています。このようにしてディープニューラルネットワークの計算グラフ(計算の全体像)が決まると、標準的な深層学習の手法を用いて、この動的システムの制御入力を決定するパラメーターを学習することができます。この制御手法の有効性、有用性の検証を進めています。

動的システムの深層展開により得られるニューラルネットワーク

深層展開を用いた脳ネットワークの発火制御

連絡先

E-mail: m-ogura@ist.

TEL: S4356

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外線からは、S: 06-6879-xxxxS*: 06-6105-xxxxT: 06-6850-xxxx となります。
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